昆虫の専門家に教えてもらおう! 虫たちとの上手な付き合い方【トンボ編】
アウトドアでは、必然的に昆虫と出会う機会が多くなります。昆虫少年や虫愛ずる姫君じゃなくても、昆虫って観察してみると、意外とかわいらしく見えてくるものです。 【写真】透き通った羽が涼しげなトンボの姿を観察する(全8枚) このシリーズではそんな、ちょっと気になる虫たちについて、昆虫の専門家にお話をお聞きしていきます。今回は、初夏から秋頃にかけてよく見かける「トンボ」について、伊丹市昆虫館の坂本館長に教えていただきます。
水辺で見られるトンボたち
透き通った翅が涼しげで、飛んでいる姿もなんだかとてもカッコいいトンボは、ファンが多い昆虫のひとつ。伊丹市昆虫館がある昆陽池周辺でもよく飛んでいる姿を見かけます。 「トンボは幼虫期を水の中で過こすので、水辺環境である昆陽池には、けっこういろいろなトンボが生息しています。今年ももう何種類か飛んでますよ」と坂本館長。 「大きな池でなくても、街中のちょっとした水路などでもよく見かけます。街中でも探しやすくて、観察しやすい昆虫のひとつだと思います。 トンボは春から秋まで見られますが、初夏から少し涼しくなった秋が多いです。暑さが苦手なトンボもいるようで、一般的な〝赤とんぼ〟と呼ばれるアキアカネは、真夏は涼しい山の上などで過ごして、秋になったら平地へ降りて来ると言われています」 「赤とんぼ」と言えば秋のイメージがありますが、夏場は快適さを求めて避暑地で過ごし、山から降りて来る秋になると街に住む人たちがよく目にするということなんですね。
昆虫界屈指のハンターと言えば?
青いピカピカめがねと、黄色と黒のツートン胴体が特徴的なオニヤンマ。体長は10cmほどもあり、昆虫界屈指の飛翔力を活かしてアグレッシブに狩りをする名ハンターです。飛行速度は時速70km、空中ホバリングも自由自在、そして強いアゴで獲物を捕らえる、どう猛な肉食昆虫です。
伊丹市昆虫館や昆陽池でオニヤンマに出会えますか?
「オニヤンマは、飛んでいる虫を捕まえて食べる習性があるので、飼育するのは難しいんです。トンボの成虫は基本的に〝昆虫館向き〟ではない昆虫です。 オニヤンマは、かつては見られましたが、ここ数年、昆陽池周辺ではあまり見かけなくなっています。 とは言え、絶滅が危惧されるほど減っているわけでもないので、里山エリアの水辺や山間部などでは珍しくないと思います。 このあたりで6~7月頃によく飛んでいるのは、シオカラトンボやコシアキトンボ、チョウトンボなどです。ギンヤンマやクロスジギンヤンマなども見かけます。彼らもオニヤンマに負けない、美しき名ハンターですよ」(坂本館長)