たくましくなった1年 サッカーアジア最終予選の中国戦 清雲栄純氏 チェックアイ
苦労しながらも試合を通じて余裕があった。インドネシア戦から先発5人を入れ替え、出場機会が少なかった選手を多用してチーム力の底上げにつなげた。中国戦までに独走態勢を築き、先を見据えた選手起用が可能な状況を作ったからこその成果だった。 セットプレーで試合を動かした。1点目は久保(レアル・ソシエダード)、2点目は伊東(スタッド・ランス)が高精度のCKを送り、小川(NECナイメヘン)と板倉(ボルシアMG)が強さをいかして押し込んだ。攻めあぐねているときに、セットプレーで得点できるのは大きい。 1年で見違えるほどたくましくなった。準々決勝で散った1~2月のアジア・カップは全5試合でゴールを許して計8失点だったのが、W杯アジア最終予選は6試合を終えて計2失点。持てる力のすべてを全試合にぶつけている証で、本気でW杯優勝を目指していることが伝わってくる。 W杯出場が決まる可能性がある来年3月の活動まで、しばらく時間が空く。所属クラブで多くの出場機会を得て個の力を上げることが、さらなるチーム力アップにつながるのはいうまでもない。驚かせてくれるような成長を楽しみにしている。(元日本代表コーチ)