AI・半導体産業を政府が10兆円支援、開発補助には6兆円…2030年度まで予定
政府が月内にまとめる総合経済対策に盛り込むAI(人工知能)・半導体産業支援策の概要がわかった。2030年度までに10兆円以上の支援を行い、このうち次世代半導体の研究開発補助金などに6兆円程度、政府による出資や債務保証などの金融支援に4兆円以上をあてる。今後10年間に関連産業全体で50兆円超の国内投資を実現させることを目指す。
こうした枠組みに基づく支援を実施するため、2025年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。
政府は収益性が見込めない段階では補助金などで支援し、量産体制が整ったら金融支援に移行することを想定している。
補助金などの財源は、政府が保有するNTT株や日本たばこ産業(JT)株の配当などを収入とする財政投融資特別会計(特会)から2・2兆円程度を確保する。基金からの国庫返納金や、政府が売却を進める商工組合中央金庫株の売却収入などで1・6兆円程度を工面する。脱炭素社会の実現に向けた国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」などでも2・2兆円程度を賄う。
金融支援は、財政投融資による出資やGX債の活用による財源で対応する。
公的な支援に加えて銀行融資などの民間投資を呼び込むため、対象となる事業の条件も明確化する。〈1〉幅広い国内産業の競争力強化や成長などにつながる〈2〉経済安全保障上、重要な物資や技術〈3〉民間企業だけでは必要かつ十分な投資を行えない――ことを掲げた。
取り組みに実効性をもたせるため、達成目標を設定し、節目ごとに支援効果を検証する。支援を継続することが適切かどうかを外部の有識者が評価する仕組みも設ける方向だ。