堂安、南野に聞いた久保建英代表デビューへの期待と刺激
アジアカップで味わわされた悔しさを糧に、もっともっと決定力のある選手にならなければ、と誓った堂安はその後のオランダリーグをわずか1ゴールで終えている。成長を期す思いが強すぎたがゆえに空回り気味となり、日本代表として戦った3月シリーズでも歯がゆいパフォーマンスに終わった。 迎えた今シリーズで、攻撃陣では長く最年少だった自分に後輩ができた。久保が放つ存在感を「刺激しかないと思っている」と、まもなく21歳になる堂安は偽らざる胸中を明かした。 「タケが成長してくれることによって焦らされる自分もいるので、彼の存在には感謝したい」 森保ジャパンでは失うものはないとばかりに、臆することのないプレーで攻撃陣を下から突き上げてきた。船出から約9ヵ月後に、今度は自分が突き上げられる状況になったことを、堂安は「それがフットボールの世界なので」と笑顔で歓迎する。 久保の挑戦を真正面から受け止めることによって、まるで初心に返るかのように、自分自身も成長していける。同じような熱き思いを、南野もまた胸中に抱いていた。3バック導入によって、最激戦区の2列目は「3」から「2」に枚数が減り、必然的にレベルが上がる競争を24歳の南野も歓迎する。 「僕としてはそれが当たり前だと思うし、若い選手に突き上げられながらポジションを争うことで、チームとしても向上していく。そうした競争のなかで勝ち残った選手しか試合に出られないことは、日本代表だけじゃなくて、ザルツブルクでも経験している。ポジションは自分で勝ち取るしかないので」 エルサルバドル戦でシャドーの一角に入るとみられていた香川真司(ベシクタシュJK)は、股関節の違和感で欠場することが決定した。森保監督が先発メンバーの入れ替えを明言しているなかで、シャドーはトリニダード・トバゴ戦でコンビを組んだ中島と堂安から変わる可能性が大きい。 一人は南野で確定しているとして、もう一人は香川の欠場で流動的になった。おそらくは伊東純也(RKCヘンク)が務めるとみられるなかで、指揮官の言葉通りならば途中出場でのデビューが濃厚な久保は、取材対応時にこんな言葉も残していた。 「自分がピッチに立てれば、練習とはまったく違った話になると思っています。チャンスをもらえれば、そこで何かを見せられればいいかなと」 攻撃陣を中心とする選手たちのメンタル面に、早くも変化を与えつつある逸材はどのような状況でひとめぼれスタジアム宮城のピッチに立つのか。森保ジャパンのターニングポイントにかるかもしれない、注目の一戦は午後7時にキックオフを迎える。 (文責・藤江直人/スポーツライター)