加齢黄斑変性を調べる眼底検査ってどういう検査? ほかにどんな検査で調べるの?
加齢黄斑変性(AMD)は、中高年に多く見られる視力低下の主な原因の一つであり、失明原因の第4位とも言われています。この病気を早期に発見し、進行を防ぐためには、定期的な眼底検査が不可欠です。 【イラスト解説】「緑内障」の原因・なりやすい年齢層 そこで、加齢黄斑変性を調べるための眼底検査について、はせがわ眼科の長谷川裕基先生にMedical DOC編集部が話を聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
加齢黄斑変性って何? 眼科医が徹底解説
編集部: 加齢黄斑変性とはどんな病気ですか? 長谷川先生: 加齢黄斑変性は、網膜の中心部にある「黄斑」が加齢によって変性することで、視力が低下したり視界に歪みが出たりする疾患です。 黄斑は視力の中心を担う部分で、細かい物を見る際に重要な役割を果たします。「萎縮型加齢黄斑変性」と「滲出型加齢黄斑変性」がありますが、治療の対象となるのは主に滲出型加齢黄斑変性です。 編集部: 滲出型加齢黄斑変性について教えてください。 長谷川先生: 網膜の下に新しい血管(新生血管)ができて、この血管が黄斑にダメージを与えるのが滲出型加齢黄斑変性です。新生血管は非常にもろく、成分が漏れ出てむくみとなったり、出血を起こしたりしやすい特徴があります。 編集部: どのような症状が出るのですか? 長谷川先生: 初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いのですが、進行すると視力の低下や視覚のゆがみが生じます。また、視野の中心が見えにくい、色の識別が難しいといった症状が出ることもあります。
加齢黄斑変性の治療法は? どんな検査で診断されるの?
編集部: なるほど。では加齢黄斑変性の治療はどのように行われるのですか? 長谷川先生: 最も多く行われているのが「抗VEGF療法(抗VEGF薬硝子体内注射)」という治療法です。ほかには、光感受性物質を体内に注入したあとに、それと反応するレーザー光を当てる光線力学療法(PDT)や病状が悪化したケースには硝子体手術などの治療法があります。 編集部: 最も多い「抗VEGF療法(抗VEGF薬硝子体内注射)」について教えてください。 長谷川先生: むくみや出血の原因となる新生血管の成長を促進するVEGFという物質の作用を抑制する治療法です。このVEGFを抑える薬剤を少量注射することで、新生血管の成長を抑制します。 編集部: そもそも加齢黄斑変性かどうかはどんな検査でわかるのですか? 長谷川先生: 加齢黄斑変性を正しく診断するためには、視力検査はもちろんのこと、眼底検査や造影検査などの検査が必要です。眼底検査は、眼科医が網膜の状態を詳しく観察する検査が一般的で、出血や新生血管を調べます。 造影検査は、蛍光色素を含んだ造影剤を腕の血管から注射して、眼底を撮影する検査です。そして最も重要なのはOCT(光干渉断層計)検査です。網膜の3次元的な断層撮影で病型や進行の程度を把握する眼底検査です。 最近では、OCTアンギオグラフィー(光干渉断層血管撮影)という造影剤を使用しなくとも新生血管の状態を把握しやすい機器も出てきました。