金融庁出向中の裁判官、インサイダー取引容疑で特捜部に告発…東証社員も金商法違反容疑で
金融庁に出向中の裁判官によるインサイダー取引疑惑で、証券取引等監視委員会は23日、30歳代の男性裁判官を金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で東京地検特捜部に告発した。 【図解】一目でわかる…裁判官によるインサイダー取引疑惑の構図
関係者によると、裁判官は今年4月に最高裁事務総局から同庁へ出向し、企画市場局企業開示課の課長補佐として株式公開買い付け(TOB)を予定する企業の書類審査などを担当。出向直後から8月までの間に、職務で知った未公表のTOB情報を基に、毎月複数回にわたり、本人名義で対象企業の株式を売買していた疑いが持たれている。
また、東京証券取引所の社員によるインサイダー取引疑惑で、監視委は23日、20歳代の男性社員を金商法違反容疑で特捜部に告発した。
関係者によると、東証の上場部開示業務室に所属していた男性社員は、TOBに関する企業の未公表情報を親族に伝えるなどした疑いがある。親族は未公表情報を基にした株取引で利益を得ていたという。
監視委は今年9月、金融庁に出向中の男性裁判官と、東証の男性社員の関係先をそれぞれ強制調査していた。
金商法は、上場企業のTOBなどの重要事実を職務で知った公務員らが公表前に株取引をすることを禁じている。違反すれば、行政罰としての課徴金のほか、悪質性が高い場合は、懲役5年以下・罰金500万円以下の刑事罰がある。