<春に挑む・’23センバツ・大分商>支える人編/上 林龍一トレーナー 心身鍛え、攻める自信に /大分
「もう一回いける!」「応援しよう!」。3月初旬、グラウンド脇のウエートトレーニング用スペースで、トレーナーの林龍一さん(47)=長崎市=の声が響く。ベンチプレスのトレーニングをする時に歯を食いしばってバーベルを挙げる選手だけでなく周りにも声をかけ、励ました。 林さんは、北九州市出身。26歳まで陸上の中距離選手として活躍した。27歳の時にスポーツに関わる仕事をしたいと、トレーナーを派遣する会社に就職。2009年に独立し、長崎県を拠点に九州や山口県などの高校11校の運動部で教える。 那賀誠監督(55)の下で選手を指導するようになったのは約15年前。会社員時代に営業先の高校で知り合い、当時の野球部の選手たちにトレーニングの仕方を教えた。那賀監督の異動後もその関係は続き、22年8月に大分商の監督になってからは月1回、学年別に時間を分けて指導している。 大分商では体の基礎を作り、けがを防ぐためのトレーニングから始めた。選手が最大で何キロのバーベルを挙げ、バーベルを担いで何回スクワットできるか調べ、それぞれの70~80%の負荷をかけて筋肉を大きくする訓練をした。筋肉のためのたんぱく質や食事の取り方も教えた。 野球技術に優れた選手たちは半信半疑だったが、22年秋の九州地区大会で強豪校と対戦して重要性を認識して真剣に取り組むようになった。2年生のベンチプレスの平均は22年秋より8キロ増え72キロになった。 3月からはバーベルを挙げ、スクワットをする時の負荷を90%に上げ、瞬発力を高められるようにしている。更に下半身から上半身にかけて無理なく力を伝える体の使い方も指導する。 林さんは「選手はきつくても『あと1回』とトレーニングしてきた。その量は甲子園に出る他の高校と遜色なく、心身共に強くなっている。気持ちで向かえば結果は出るはず」とエールを送った。【神山恵】 ◇ ◇ 第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する大分商の選手やチームを支える人たちを2回に分けて紹介します。