【独占2】横浜DeNAフロントのトップが語るラミレス監督との付き合い方「いい時も悪い時も現場介入はしない」
横浜DeNAの編成トップ、三原一晃代表(51)へのインタビュー後編。新外国人、オースティンの評判がいいが、どのチームも課題にしている外国人問題、ラミレス監督とフロントとの距離感、そして筒香嘉智が抜けた今季優勝を狙える戦力が整ったかどうかをズバリ聞いた。 ――ドラフトと同時に外国人戦略が横浜DeNAはうまく回っています。特にソトの成功が大きいですね。外国人獲得に関してのノウハウがあるのですか? 「プロ野球でよく言われますよね。外国人だけは、連れてこないことにはわからないしキャンプで見てもわからない、と。ましてオープン戦で打ってもシーズンに入ればダメだったというケースも少なくありません。私たちでも、その例はありました。現役のメジャーリーガーを連れてくれば成功するか、と言えば、必ずしもそうではない。ただ、データ、ノウハウ蓄積はできること。データ班も含めて徹底的にやっています。新外国人に関してもできる限りトラックマンデータを取って検討材料にしています。ルイス・ロペス(楽天2軍打撃コーチ経験あり)、グレッグ・ハンセル(元阪神投手)の駐米スカウトの2人が活躍してくれている。彼らの見る目、推薦の信頼度は、年々上がっています」 ――ソトは楽天2軍打撃コーチ経験のあるロペス氏の推薦でしたね。 「ソトはテスト入団です。素質があり熱意のある選手なのでぜひ見て欲しいと、ソトを推薦してくれたロペスに見る目があったということ。それに尽きます。今回のオースティンもロペスの推薦。もちろん、彼にも期待しています。ただ成功例を過信するのが一番ダメなこと。ソトの成功をたまたまと思うくらいがちょうどいい。成功を当たり前として計算すると、ほころびが出てきます。ソトの成功が何回も起こる出来事ではないと考えています。 ソトの例を見る限り、野球に取り組む姿勢が重要かなとは感じています。ソトは、チーム事情でいろんなポジションを守ってもらっていますが、その度に研究し練習もよくします。そういう選手でないと環境の違う日本では活躍できないのでしょう。 逆説的になりますが、一昨年からドミニカでトライアウトを行って、外国人に関しても若い好素材選手を育成しようという試みを始めて2年になります。こちらの方が、仕組みとして動いているので成功例が積み上がります」 ――昨年は、そこからレミー・コルデロ投手(22)と育成契約を結び、今年もフランディー・デラロサ内野手(24)、ジェフレック・ディアス投手(20)と育成契約を結びましたね。年俸240万円の選手が化けてくれればリスクはないでしょうが、いい選手は、メジャーに囲い込まれ、なかなか好素材は残っていないとの声もあります。 「やりかた次第でしょう。アプローチの仕方次第で原石は残っています。嘉手納(ファームキャンプ)に来ている3人(コルデロ、デラロサ、ディアス)の評判も良い。育成契約している3人のうちの誰かが支配下登録を勝ち取ることにでもなれば、次のステップに進めると楽しみにしているんです」 ――野球経験がないどころか、野球界とも無縁だった三原さんが、編成のトップに座り、スペシャリストの意見を吸収して、チームを組み立てる組織はメジャー式に見えます。 「高田(前GM)さんは監督もされ経験豊富な方で、すべての情報を知り、全部を決めることのできる人でした。高田さんが退任され、私が総責任者としてやり始めるにあたって、いろんなところと連携しないと前へ進めないと考え、ラミレス監督からもいろんな話を聞いています。そもそも新規参入した際にチーム作りの基本として考えたのが、どんどん積み上げていく組織を作りたいということです。監督が変わる度に、やり方やスタッフまで変わるのではなく、横浜DeNAベイスターズとして変わらないことをしっかり定め、失敗を繰り返さない組織にしたい。去年よりも良くなったというものを少しずつ積み上げる形にしたいのです。そこに個人の考えが前面に出てしまうと、そこへひっぱられてしまう。そうではなく、成功も失敗も経験として残していきたいのです」