一度は位置奪われるも…勝負どころの“超絶技巧”で連覇 帝王・山田裕仁氏が古性優作に凄味感じた瞬間/弥彦G1決勝回顧
現役時代はKEIRINグランプリを3度制覇、トップ選手として名を馳せ、現在は評論家として活躍する競輪界のレジェンド・山田裕仁さんが弥彦競輪場で開催された「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」を振り返ります。 2024年10月20日(日)弥彦12R 第33回寛仁親王牌(GI・最終日)S級決勝 ※左から車番、選手名、期別、府県、年齢 ①古性優作(100期=大阪・33歳) ②郡司浩平(99期=神奈川・34歳) ③新山響平(107期=青森・30歳) ④小原太樹(95期=神奈川・36歳) ⑤脇本雄太(94期=福井・35歳) ⑥河端朋之(95期=岡山・39歳) ⑦渡部幸訓(89期=福島・41歳) ⑧佐々木悠葵(115期=群馬・29歳) ⑨寺崎浩平(117期=福井・30歳) 【初手・並び】 ←⑨⑤①(近畿)②④(南関東)⑧(単騎)③⑦(北日本)⑥(単騎) 【結果】 1着 ①古性優作 2着 ④小原太樹 3着 ⑥河端朋之
世界選手権で大躍進の日本勢
本編へと入る前に、このうれしいニュースについて触れさせてください。デンマークで開催されている、自転車競技の世界選手権。10月17日には山崎賢人選手(111期=長崎・31歳)が男子ケイリンで、そして21日には佐藤水菜選手(114期=神奈川・25歳)が女子ケイリンで、それぞれ金メダルを獲得したんですよ! 世界選手権の男子ケイリンでの金メダル獲得は、1987年の本田晴美選手以来で、じつに37年ぶりとなります。 男子スクラッチでは窪木一茂選手(119期=福島・35歳)も悲願の金メダル獲得と、日本勢はまさに大躍進。この“快挙”に対して、惜しみない拍手を贈りたいですね。オリンピック開催年であるため、残念ながら山崎賢人選手は、これでKEIRINグランプリ出場とはいかないようなのが玉に瑕。競輪関係のメディアでも、この快挙についてもっと大きく取りあげてほしいものです。
グランプリ出場権争いも終盤戦に突入
それでは話を戻して…10月20日には新潟県の弥彦競輪場で、寛仁親王牌(GI)の決勝戦が行われました。時がたつのは早いもので、今年のビッグは残すところあとわずか。KEIRINグランプリ出場をめぐる戦いの趨勢も、このシリーズが終わるとかなり見えてきます。獲得賞金による出場ボーダーラインの近辺にいる選手にとっては、ここからの全レースが「勝負駆け」といっても過言ではありません。 寛仁親王牌は「全プロ競技大会」での成績優秀者がシード権を有するシリーズであるため、初日の日本選手会理事長杯にはS級S班に混じって、河端朋之選手(95期=岡山・39歳)や菊池岳仁選手(117期=長野・24歳)が出走。錚々たるメンバーとなったこのレースは、前受けから突っ張り主導権を奪った菊地選手の番手を回る、眞杉匠選手(113期=栃木・25歳)が快勝しました。 そして2日目のローズカップは、近畿ラインの番手を回った脇本雄太選手(94期=福井・35歳)が豪快に捲って1着。ライン先頭を任された寺崎浩平選手(117期=福井・30歳)が不発に終わるも、自力に切り替えた脇本選手がそこから矢のような伸びをみせ、先に抜け出した眞杉選手を捉えました。脇本選手は、続く準決勝でも後方から豪快に捲りきって1着をとり、決勝戦に駒を進めています。 脇本選手は上々の仕上がりにあるようで、古性優作選手(100期=大阪・33歳)も調子を上げてきている様子。同様に眞杉選手も好調モードでしたが、準決勝で同期の松井宏佑選手(113期=神奈川・32歳)と壮絶なもがき合いとなり、残念ながら7着に敗退しています。このレースを眞杉選手の番手から制した佐々木悠葵選手(115期=群馬・29歳)も、デキのよさが目立っていた選手の一人ですね。