一度は位置奪われるも…勝負どころの“超絶技巧”で連覇 帝王・山田裕仁氏が古性優作に凄味感じた瞬間/弥彦G1決勝回顧
強力3車の近畿勢、新山は真っ向勝負で抵抗か
決勝戦にもっとも多くの選手が勝ち上がったのは近畿勢で、その先頭は寺崎選手に任されました。番手を回るのが寺崎選手と同県の脇本選手で、3番手に古性選手と、ローズカップと同じ隊列ですね。当然ながらここは二段駆けが大アリで、1番車の古性選手がいることで車番的にも有利。近畿勢が楽に逃げられるような展開だと、他のラインや選手は手も足も出ずに終わってしまう可能性が大です。
南関東勢は、前が郡司浩平選手(99期=神奈川・34歳)で番手が小原太樹選手(95期=神奈川・36歳)という神奈川コンビ。そして北日本勢は、新山響平選手(107期=青森・30歳)が先頭で、番手を渡部幸訓選手(89期=福島・41歳)が回ります。どちらのライン先頭も自力がありますが、車番的に後ろ攻めとなりそうな新山選手が、近畿勢に真っ向勝負を挑んでくるケースも考えられるでしょうね。 そして単騎で勝負するのが、河端選手と佐々木選手。どちらも強力なタテ脚の持ち主ですから、道中の立ち回りや展開次第では台頭の余地が十分あります。流れ次第では、佐々木選手が果敢に単騎捲りにいくような展開だってあり得ます。この大舞台で、近畿勢をあっさり逃がして封殺されるなんてことになれば、もはや「素人」ですからね。GI決勝戦にふさわしい、全身全霊をかけた激突をみせてもらいたいものです。
人気の近畿勢が前受け、新山は7番手
前置きが長くなりましたが、そろそろ決勝戦の回顧に入りましょう。レース開始を告げる号砲が鳴ると同時に、好スタートから飛び出したのが1番車の古性選手。そのまま先頭誘導員の直後を取り切って、近畿勢の前受けが決まります。4番手には郡司選手がつけて、その後ろの6番手に単騎の佐々木選手。新山選手は後方7番手からで、最後尾に単騎の河端選手というのが、初手の並びです。 以降は淡々と周回が進み、後方に位置する新山選手が動き出したのは、青板周回(残り3周)の4コーナーから。一気に踏み込んで加速し、「前を斬る」という強い意志を感じるほどのスピードで寺崎選手に迫ります。先頭誘導員との車間をきって待ち構えていた寺崎選手は、当然ながら引かずに応戦。新山選手は、赤板(残り2周)を通過した直後に寺崎選手の外に並び、併走のまま1センターを回ります。 1センターを回ったところで、渡部選手が内の脇本選手にアタック。その直後、新山選手は寺崎選手だけを前に出して、脇本選手の外につけます。ここで、新山選手と一緒に降りた渡部選手が脇本選手の後ろに入り込み、位置を奪われた古性選手がその外につけるなど、ポジションが入れ替わります。後方の南関東勢や、単騎の佐々木選手と河端選手は、動かないまま。そしてここで、レースは打鐘を迎えました。 古性選手は、打鐘と同時に渡部選手を内にグイッと押し込み、その後にスッと加速して、脇本選手の番手を再奪取。脇本選手の外を併走していた新山選手はここで脚が鈍りだして、少しずつ後退します。これでひと息つけるかに思われた近畿勢ですが、打鐘後の2センターで間髪を入れず襲いかかってきたのが、後方にいた郡司選手。内の渡部選手と外の新山選手との間をこじ開け、先頭に迫ります。