働いても年金がカットされにくくなる? 2024年度は「50万円基準」!
年金を受けられるようになっても、引き続き会社に勤務していることも多いでしょう。 年金を受けられる人が厚生年金に加入していると、年金がカットされることがあります。この年金が調整される仕組みである「在職老齢年金制度」には、基準額が設けられています。 その基準額について、2024年度は2023年度から変わりました。
在職老齢年金制度とは?
65歳前の特別支給の老齢厚生年金や、65歳からの老齢厚生年金を受けられる人が厚生年金被保険者となると、在職老齢年金制度の仕組みによって年金が支給停止となるケースがあります。 具体的には、(1)報酬比例部分の年金の月額(基本月額)と(2)標準報酬月額、(3)直近1年の標準賞与額の12分の1((2)(3)と合わせて総報酬月額相当額)を合計して「支給停止調整額」を超えた場合に、超えた分の2分の1の年金について支給停止することになり、支給停止されない残額が支給されます(図表1)。 毎月の給与である(2)や賞与である(3)の額が高くなればなるほど、つまり高給取りであればあるほど、年金がカットされやすいことになるでしょう。
筆者作成 なお、図表1のとおり、報酬比例部分が支給停止の対象ですので、老齢基礎年金や経過的加算額については(1)の年金額にも含まれませんし、また、支給停止の対象とならず、全額支給されます。
48万円基準から50万円基準に
図表1の支給停止調整額が基準額となりますが、2023年度の支給停止調整額は48万円でした。つまり、年金(報酬比例部分)の月額と月給と賞与の12分の1を合計し、それが48万円を超えた場合に、超えた分の2分の1の年金がカットされることになります。そのため、「48万円基準」といわれています。 しかし、この48万円の支給停止調整額については、2024年度は50万円になりました。つまり、2024年度は「50万円基準」となります。 支給停止調整額は2005年度を基準として、法定額(48万円)から名目賃金変動率を用いて毎年度見直しがされますが、その名目賃金変動率の累積率により、2024年度は50万円で計算されることになります(図表2)。