子供服ブランド展開の(株)マ・メール(大阪市住之江区)が民事再生
コロナ禍や円安、コスト増が影響
(株)マ・メール(大阪市住之江区)は9月24日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。 申請代理人は岡野真也弁護士(弁護士法人岡野真也法律事務所、東京都中央区日本橋本石町3-1-2)ほか5名。監督委員には井上裕明弁護士(半蔵門総合法律事務所、東京都千代田区2番町3-5)が選任された。 負債総額は約23億7800万円。 大阪市で創業し、子供服の卸売を中心として事業を展開していたが、2000年7月期に海外子供服ラグジュアリーブランドとの独占契約締結を契機として、本格的に小売業へ進出。「日本初のラグジュアリー子供服ブランド」の小売店として、マーケットの反響を呼び、各方面からの多数の出店要請を受け、2005年7月期には、全国18拠点29店舗を展開するまでに店舗網を拡大し、売上高も20億円を突破した。 2006年頃からは株式上場を目指し、さらなる店舗網の拡大、広告宣伝、顧客・商品データベースシステムへの投資などを推進していたが、リーマン・ショックによる信用市場の収縮をはじめとする外部環境の悪化と消費環境の冷え込みを背景に、業績にも急ブレーキがかかった。 2008年10月には、取引金融機関に対してリスケジュールを要請。不採算店舗の撤退、役員報酬の大幅カット、人員整理などの徹底した販管費削減策を実行し、2012年7月期には黒字化を果たし、2019年7月期まで9期連続で営業黒字を継続するまで業況は改善した。 しかし、2020年からのコロナ禍により、主な販路である百貨店やホテル内店舗が大きなダメージを負ったことに加え、ロシアのウクライナ侵攻による物流網の混乱、各種コストの高騰、急激な円安進行により、資金繰りが悪化。営業店舗をコロナ禍前の14店舗から8店舗へ絞るなど固定費の削減を断行するほか、「マ・メール」の名称を冠したオリジナルブランドやEC事業の立ち上げにも注力していたものの、海外主要メーカーの支払条件がキャッシュオンデリバリーに切り替わったことも影響し、資金繰りが悪化。9月25日の債務支払いのめどが立たず、今回の措置となった。 なお、東証スタンダード上場企業である(株)KeyHolder(渋谷区)と9月24日付で、スポンサー支援の基本合意を締結しており、同社の支援のもとで再生を図っていく方針。また、店舗は営業を継続している。 ※(株)マ・メール(TSR企業コード:570657296、法人番号:4120001089868、大阪市住之江区南港北2-1-10、登記上:大阪市中央区備後町2-5-8、設立1978(昭和53)年4月、資本金2億4800万円) (株)KeyHolder(TSR企業コード:290210755、法人番号:1010001110481、東京都渋谷区)