ポイントリーダーで迎えた小椋藍の日本GP「昨年以上の結果が求められている。ここでリードを広げたい」/第16戦日本GP
10月4日から6日にかけて、栃木県のモビリティリゾートもてぎにて、2024MotoGP第16戦日本GPが開催される。Moto2クラスのランキングトップで母国GPを迎える小椋藍(MT Helmets – MSI)に、日本GPにかける想いを尋ねた。 【写真】2位獲得を喜ぶ小椋藍(MT Helmets – MSI) ここまで3勝を挙げ、第15戦インドネシアGP終了時点で208ポイントを獲得し、ランキングトップに立つ小椋。2番手のセルジオ・ガルシア(MT Helmets – MSI)に42ポイントの差をつけてのランキングトップとなっており、大きなアドバンテージを抱いた状態で日本GPを戦うことになる。 「気分はとても良いです。今年は良い感じに乗れています。結果として取れなかったものの、過去2回のチャンピオン争いをした時は、自分がポイントスタンディングでトップになったり、2番手になったりするシーズンでした。でも今年は、現時点で40数ポイント開いています。ここまでのリードは過去になかったので、数字を見るだけでもやっぱり調子が良いなというのはありますね。もてぎのレイアウトは好きなので、ここでさらにリードを広げたいですね」 2022年は優勝、2023年は体調不良ながら2位獲得と、日本GPでは毎年好成績を残している小椋。 「過去2年で1位、2位を獲得していて、もてぎは自分の練習でも使用しているサーキットです。レイアウトも自分に向いているように感じています。 チャンピオン争いをしている立場的にも、良いレースをしないといけないと思っています。今年も、昨年や一昨年の成績に近かったり、それ以上の結果が求められると思うので、そこを目指して頑張っていきたいです」 2024年の後半戦、第14戦エミリオ・ロマーニャGPでは4位、第15戦インドネシアでは2位表彰台獲得と、好成績で迎える連戦の3戦目の日本GP。シーズン終盤ということもあり、小椋はチャンピオンを意識した走りになるのだろうか。 「みんな一緒だと思うんですけど、金曜日、土曜日は自分を高める段階です。その結果発表みたいなものが日曜日。だから金曜から土曜日は、あんまりチャンピオンシップについては考えないで、自分がどこまでできるのかという状況をしっかり把握します」 「そして日曜日のレースは、最初はもちろん全開でスタートします。相手の位置や、自分がどういう状況に置かれているのかというのを判断できるようになってきたら、ここは抑えて確実にポイントを取る方がいいのかなとか、そういう考えになってきます」 「そこまでは自分の実力次第なところが多いので、ポイントのことを考え出すのはレースの途中からですね。そこまではもう、なるようになる感じで、とりあえずスタートして……というようにレースをしています」 昨年までは表彰台を獲得しても、優勝でなければパルクフェルメで悔しさを滲ませていた小椋だが、今年は納得のいく走りができれば、どんな順位でも満足しているように見える。昨年と比較して自分の中で変わった部分があるのだろうか。 「昨年はタイトル争いにまったく関わっていなかったので、『優勝かそれ以外か』という部分がありました。毎レース、そのレースのためだけに戦っている身だったので、そこがすごく大きかったんです」 「でも今年はチャンピオンシップもありますし、『4位だけど、その先に見えているものに対して、良い4位』であればもちろん嬉しいので、そこの違いですね。エミリオ・ロマーニャGPでの4位は、レース内容的にはそこまで嬉しくなかったんですけど、ちょっと引いて大きな視点で見たら良かったのかなと思えました」 42ポイント差で小椋を追いかけるのは、チームメイトのセルジオ・ガルシア。チーム内でのチャンピオン争いについて、どう感じているかについても話してくれた。 「チームメイトとチャンピオン争いするのが良いのか悪いのかはわからないですね。ボックスだったり、ライダールーム、それこそ着替えの場所など、いろいろシェアする部分が多い。他のチームのライダーと戦うより、メンタルの勝負がちょっと前から始まるというか……」 「移動など、常に共にしているので、ちょっと変な空気になる時はあります。でも悪いヤツでもないですし、ここまではフェアに戦っているかな。彼は速いですし、そういうチームメイトを持っているというのは良いことだと思います」 小椋の日本での人気は毎年高まっていて、来年はついにMotoGPクラス昇格が決定している。今回の日本GPで、さらに大勢の“小椋ファン”が現地に訪れることが予想される。 「応援してもらえることは、ありがたいです。さっきも話したように金曜と土曜とプラン通りにやって、決勝レースは結果発表だと思っています。自分はやれるだけのことやって、それが良い結果につながって、みんなが喜んでくれたら自分も嬉しい、というだけです。もちろん、応援してくれる方が多ければ多いほど、本当にありがたいことです」 昨年レプリカヘルメットの販売も開始した小椋。昨年に引き続き、今年も日本GPに向けてスペシャルヘルメットを用意しているようだ。 「後ろの部分に普段は数字でゼッケンを入れているんですけど、 昨年は漢字に変えました。今年もそこは同じですが、ちょっとしたデザインが違います。サイドの部分が日本刀と手裏剣になっているんですよ。金曜日から被ります」とコメント。 Araiのサービススタッフの遠藤氏曰く『会社の人間の愛が詰まっているヘルメット』になっているという。さらに進化したスペシャルヘルメットを被って戦う小椋が、この週末をどのように組み立てて、どんな走りを見せてくれるのか、期待が高まる。 [オートスポーツweb 2024年10月03日]