結局、確かな「がん治療」とはなんだろう…？じつは「よく知られていない治療方針」ホントの中身
昨今、がんにかかる人は増加しているが、死亡率は年々下がり続けているのをご存じだろうか――。「がん治療」の進化が著しいことが大きな要因の一つだ。一方で、患者側の最新医療に関する知識がアップデートされていないばかりに、手遅れになってしまうケースも残念ながら少なくないという。 【画像】AIで支援する大腸がん診断ソフトがすごい…！がんの部分が目で見てわかる がん治療で後悔しないために、私たちが身につけておくべき知識とは何か。国立がん研究センターが、現時点で最も確かな情報をベースに作成した『「がん」はどうやって治すのか』から、そのポイントをお伝えしたい。今回は、がんになったときに、どのように治療方針が決まっていくか、という問題について取り上げてみよう。 *本記事は国立がん研究センター編『「がん」はどうやって治すのか』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
「非日常的な現実に直面する」治療の始まり
今や日本人の二人に一人がかかると言われるがんは、数のうえではありふれた病気になりました。しかし、がんは放置しておくわけにはいかない病気です。なるべく早期に見つけて正しい治療方針に沿って対応しないと、命に関わることもあり得るからです。 いったんがんが見つかると、非日常的なさまざまな現実に直面することになり、その一つひとつと向き合っていくプロセスが始まります。 検診でがんが疑われると、病院に出向き、診断に必要ないくつかの検査を受けます。その結果がんの診断が確定すると、それに対してどのような治療をするのか説明を受けます。この段階で、かかりつけ医や行きつけの病院からがん専門の病院や大学病院などを紹介されることもあるでしょう。 担当の医師のもとで、検査の結果がどうであったか、そこから何がわかるか、どこにどんながんがあるか、がんのステージなどが詳しく報告され、それに対してどのような治療方針でのぞむかが説明されます。
治療方針の正解は一つではない
どんな治療をどのように行うかは、治療を受ける人の年齢、症状、家族や仕事の状況、住んでいる地域などの条件を考慮して最終的に決まるので、正解は一つではありません。 複数の治療法が提示されて、選択を求められる場合もあるでしょう。担当医から示された治療方針に対して、別の医師にセカンドオピニオンを求める患者さんもいると思います。 さて、検査の結果に基づいて、医師がまず提示するのが「標準治療」とされている治療方法ですが、標準とはいったいどういう意味なのでしょうか？
