米首都でカーター氏の国葬、政敵同士一堂に会し元大統領に最後の別れ
(ブルームバーグ): 昨年12月に100歳で死去したカーター元米大統領の国葬が9日、首都ワシントンのワシントン大聖堂で執り行われた。謙虚な姿勢と誠実な言動で両党から称賛されたカーター氏に最後の別れを告げるため、激しい選挙戦で対立した政敵同士が一堂に会した。政権交代まで2週間を切った時点で、国葬という厳粛な儀式が営まれた。
葬儀にはバイデン大統領とトランプ次期大統領がそれぞれの夫人同伴で参列。オバマ元大統領やブッシュ元大統領、クリントン元大統領も列席した。トランプ氏は隣席のオバマ氏と長く話し込む様子が見られた。
トランプ氏に大統領選挙で敗北を喫したヒラリー・クリントン元国務長官とハリス副大統領の姿もあった。先日辞意を表明したカナダのトルドー首相、国連のグテレス事務総長ら多数の要人が参列した。
選挙による分断に依然当惑する政界と有権者の両方にとって、国葬はカーター氏の功績をたたえる機会となった。同氏は波瀾(はらん)万丈の在任期間を終えて、人権と自由で公正な選挙という価値観の推進に身をささげ、多くに称賛され敬愛された。
バイデン大統領はカーター氏の人生を「政治の波にのまれず、世界のために奉仕し導く使命を貫いた人間の物語」と語った。
「ジミー・カーター氏との友情、そして彼の人生から私が学んだのは、肩書や権力よりも人格が持つ力の方が価値が高いということだ」とバイデン氏は弔辞で述べた。「何よりも最大の罪は権力の乱用だ」と続けた。
カーター元米大統領死去、100歳-2002年ノーベル平和賞受賞
トランプ氏はここ数日、カーター元大統領の政策を公に批判している。7日の記者会見ではカーター氏について「人間としては好きだ」と述べつつ、同氏が署名したパナマ運河の管理権をパナマに引き渡す条約について不満をあらわにした。
トランプ氏はさらに、カーター氏の死後30日間、半旗を掲げる慣習についても不平をこぼした。大統領就任式が行われる今月20日もこの期間に入る。