J2降格危機の鳥栖はF・トーレスを売りに出しているのか?
残り5試合となったJ1戦線で、J2への自動降格圏となる17位にあえいでいるサガン鳥栖が18日、ホームのベストアメニティスタジアム内で緊急のサポーターミーティングを開催した。 通常はプレスルームおよびインタビュールームを区切っている、すべてのパーティションを撤去。臨時に用意された広大なスペースに、続々とサポーターが詰めかけてくる。その数、およそ200人。午後7時すぎから始まった対話集会の冒頭で、サガンを運営する株式会社サガンドリームスの竹原稔代表取締役社長(57)が頭を下げた。 「この順位で皆様に不安を与えたことについて、あらためてお詫びを申し上げます。2011年から社長をさせていただいて、いつも最善を目指してきた形でこうなったことも、皆様にお伝えしたい」 できるだけ多くの質問に答えたい、という方針のなかで進められた結果、予定していた1時間を50分以上もオーバー。他の登壇者が使用するマイクを使わず、大きいと自負する声で最後まで思いを伝え続けた竹原社長が、40分を過ぎたところで気になる言葉を発した。 「トーレスを売るという営業は、正直、かけていません」 この日に正式に契約解除が発表されたイタリア人のマッシモ・フィッカデンティ前監督(50)のもとで、非公開練習の度合いが激増していた件を問われた直後のひとコマだった。ファンクラブ会員のみが練習を見学できる施策を、関西のあるチームが来年から進めていると明かしたうえで、今夏に加入した元スペイン代表のエースストライカー、フェルナンド・トーレス(34)におもむろに言及したのだ。 「トーレスが来たという残像しか残らないのはよくない、と思っているので。いまは結果が出ていませんけれども、トーレスの足跡を残してあげることが大事。トーレスがいるから見に来た、となるよりも、サガン鳥栖がトーレスを獲得したチャレンジをしているところがいい、そういうスピリッツをクラブのアイデンティティーとしてもっていきたいと思いながら、いままでやってきたので」 ミーティング終了後にメディアの取材に応じた竹原社長は、「トーレスを売るという営業」なる言葉に込めた意味をこう説明する。間髪入れずに「残ると思いますよ」と、トーレスの去就について初めて言及した。 「気に入ってくれていると思うので。この日本を、そしてサガン鳥栖を」