J2降格危機の鳥栖はF・トーレスを売りに出しているのか?
J1残留に勝負の5番勝負
おりしも前日の17日に、トーレスの古巣アトレティコ・マドリードから「来年7月下旬に鳥栖で親善試合を行いたい」という打診が竹原社長のもとへ入った。PK戦の末にサガンが敗れた2015年8月に続く再戦も、国際親善試合が推奨されるサマーブレイクが設けられるJ1でなければ実現しない。 国際Aマッチ開催に伴い、J1が中断していた9日からフィッカデンティ前監督を指揮から外し、金明輝コーチ(37)に練習を指導させてきたのも、現時点における最善の道を探った結果だった。ミーティング開催前に正式に就任した金明輝監督は、クラブを通じて熱い抱負を語っている。 「クラブがもっているポテンシャル、残りの試合数を考えても十分残留は出来ると考えています」 最下位のV・ファーレン長崎に勝ち点2ポイント差に追い上げられ、16位の名古屋グランパスとの勝ち点差は1ポイントながら、台風の関係でグランパスは消化試合数が2つ少ない。さらに上の残留圏には勝ち点33で、柏レイソルとジュビロ磐田が並んでいる。 勝ち点のボーダーラインが「40」に届きそうな様相を呈する、前例のないほどハイレベルな今シーズンのJ1残留争い。しかし、竹原社長がサポーターと誓い合った5戦全勝、つまり15ポイントを上乗せすることができれば目標は間違いなく成就できる。竹原社長が熱く締める。 「夢を追いかけることに情熱を燃やしていきたい。トーレスが来たことも夢なら、こんな小さなチームがJ1に残るのも夢。ひとつひとつかなえていくためにも、逆に苦しまなければいけないと思っています」 5月とは異なり、今回は残留へ向けて一致団結するかのように大きな拍手が何度も沸きあがった。新体制で臨む初戦は20日。今シーズンまだ1勝しかしていない鬼門のアウェイで対峙するベガルタ仙台戦から、サガンにとって待ったなしの5番勝負が幕を開ける。 (文責・藤江直人/スポーツライター)