【木村拓哉さんスペシャルインタビュー】セリーヌ銀座を訪れて感じたこと
2024年9月7日(土)にリニューアルオープンしたセリーヌ銀座にアーティストの木村拓哉さんが来店。彼が感じた、セリーヌの世界観とは? 2024年ウィンターコレクションの新作に身を包んだ木村さんがメンズフロアを巡り感じた魅力や、ファッションへのこだわりについて語ってもらった。 【写真】木村拓哉さんの撮り下ろしショットをすべてチェック! ーーセリーヌ銀座に足を踏み入れた第一印象は? 第一印象? すごくいい匂いがしました。メンズのフロアは3階ですけど、1、2階のウィメンズフロアから、まずすごくいい匂いがしました。 ーー1、2階と、新しくオープンした3階のメンズフロアでは香りは違いましたか? 最初に印象の強かった匂いが、徐々にフワッと後に流れていくようで。階段を昇り、メンズフロアに近づくごとに何かその匂いを忘れ去っていくような……。階段部分は全て鏡張りになっているので、メンズフロアに入る前に目に飛び込んでくるのは、自分自身。それが、何か不思議な感覚でしたね。 ーー3階で最初に目に留まったものは? 独特なその鏡と、天然の石と木と。インテリアで一般的に見ないような組み合わせが印象的ですね。実際にお客様が来店したときに腰かけることのできるものに関しては、全て違うものですしね。ものによってはものすごいアンティークもあるし、モダンなものもあって、その辺のバランスがすごくエディ・スリマンらしいなというか。うん、びっくりしました。 ーー木村さんにとって、セリーヌはどんなブランドですか? (これはもう、腹を割った個人的な内容になるんですけど、)エディがアーティスティック、クリエイティブ、イメージディレクターに就任してから、こう、何て言うんだろうな? すごくタッチしやすいというか触れやすくなりましたね。その要因として、彼のパーソナルな部分を、ほんの一部ですけど自分も知っているので。「あぁ、らしいよね」という感覚。彼がセリーヌに来たからこそこうなったんだよね、という表現の仕方? あと、着る人に設けるハードルの高さもすごく彼らしいと思います。 ーー装いのこだわりやルールは? 自分が赴いた先で誰と共に時間を過ごすか、何をするかによって服は変わってくると思います。まずそこが一番じゃないですかね。一緒に時間を過ごしてくれる人に対してどう対峙するかという。 ルールというほど別に重苦しいものじゃないんですけど、例えば、その人だから通じる冗談とかノリってあるじゃないですか。「この人ならロックT着ていっても大丈夫」という人もいらっしゃるし、「無地のまっさらなスタイルのほうがいいかな」と思うような方もいらっしゃる。僕が勝手に設定することも多いんですけどね。 服のプリントやメッセージに込められたユーモアやジョークもあるだろうし、そういうところで、僕はけっこう遊んでますね。 ーー自分の気分だけというよりは、相手のことを考えながらコーディネートされているんですね? 自分の見た目というよりは、“対・その人”を大事にしているかもしれないです。例えば、今はたまたまライブの準備期間で、パフォーマーのみんなと丸一日過ごす機会がよくあるんです。そういうときは、「おぉ、久しぶりに会ったね」というようなマイケル・ジャクソンのプリントTシャツをバッ!と広げて、「これこれ」と思いながら着たりとか。そこに服のうんちくやバックストーリーといった会話はなくても、それを見ただけで、相手は「あっ」ってなる。 ーー共通言語のような? そうですね。コミュニケーションのスイッチとして、アイテムや着るものを考えたり、遊んだりすることは多いです。 ーー対・ファンの方にも同じように思うことはありますか? 直接話すことはあまりないかもしれませんが、例えばInstagramはファンとのコミュニケーションの場だったりするわけじゃないですか? 自分がドラマの中で着ていた服を真似して購入してた、という投稿を見かけることがあるんですけど。以前、「同じようなバッファローチェックのジャケットを買って着ていた」という男性のリアクションを見て、「あ、そういえば、これ俺まだ持ってるわ」と、引っ張り出して着たりすることはありますね。「これを見て“買ってたよ”と言ってくれていた方いたなぁ」と思いながら。 ーー表現者として大切にされていることは? 僕一人だと、成立することが何一つないんですよね。自分がいて、その現場にいるカメラマンの方だったり、専門職の方たちがいてくれるので。その人たちの全力に対してこっちも全力で応えないと失礼にあたるし。その延長線上に見てくれる方、楽しんでくださる方たちがいる。そのことを忘れずに、あまり枠を決めないイメージですかね。あとは、こういう場所はもちろん、どこに行っても何かを感じる、受け取る、そのアンテナというか、感度はできるだけ良くした状態でいろんな場所にお邪魔したいなとは思っています。 model:Takuya Kimura videography:Yoshihiro Ono text:Naoko Yokomizo