センテノ氏

（ブルームバーグ）： 欧州中央銀行（ＥＣＢ）政策委員会メンバーのセンテノ・ポルトガル中銀総裁は、景気回復の兆しが見えず経済見通しに対するリスクが高まっていることは、ＥＣＢがより急速な利下げを検討すべきだという強いシグナルだとの考えを示した。

センテノ氏はワシントンでのインタビューで、失業率の上昇によって成長回復が難しくなる前に支出と投資を強化するため、ＥＣＢはできるだけ素早くユーロ圏経済の足かせをすべて取り除くべきだと語った。

同氏は、来年１－３月（第１四半期）の終わりにインフレ率が２％のＥＣＢ目標に達する見通しが、当局者の決意を後押しするだろうと示唆した。

「われわれは、0.25ポイント刻みの目盛りに縛られる必要はない」と、国際通貨基金（ＩＭＦ）の年次総会の傍らでインタビューに応じて語った。「10年間の平均インフレ率が0.9％だった経済、投資を行わない経済、労働市場が弱含みの兆しを見せている経済のためには、より大きな歩幅で動く可能性を検討する必要がある」と語った。

ＥＣＢはは先週、２会合連続の利下げを実施し緩和ペースを速めたが、当局者のほとんどはまだ、１回の利下げの幅を拡大することにはあまり前向きではない。

短期金融市場では、12月に0.5ポイント利下げが行われるとの見方が強まっている。

「われわれは回復を先延ばしにし続けており、下方向リスクが顕在化している。これは恐らく、後手に回っているという表現の適切な定義だ」とセンテノ氏は述べた。

同氏はユーロ圏経済が徐々に悪化していく悪循環に陥る危険性があると主張。「最悪なのは、下方リスクがすべて、政策に起因しているることだ。われわれは経済とインフレを必要以上に悪化させるリスクを冒している」と論じた。

「できるだけ早く中立金利に到達する必要がある」とし、「過去最高の雇用と賃金を実現している労働市場と、９四半期にわたって成長していない経済との間の緊張関係は、時間切れになりつつある」と訴えた。