昨夏サヨナラ負けの明豊、冬に鍛錬しサヨナラ勝ち センバツ
◇センバツ高校野球1回戦(19日、甲子園) ◇○明豊(大分)1―0敦賀気比(福井)● 【熱戦をもう一度】敦賀気比-明豊(1回戦) 厳しい試合を耐えた先に、格別の喜びが待っていた。明豊は唯一の得点がサヨナラの1点となり、ベンチもアルプス席も歓喜に沸いた。 再三得点圏に走者を進めたが、あと一本が出ずに八回まで得点はゼロ。明豊の投手陣も継投で無失点に抑え、緊迫した展開のまま九回を迎えた。 安打と四球で2死一、二塁とサヨナラの好機を作った。打席には4番の石田智能(ともよし)が立った。二塁走者は50メートル5秒9の俊足が自慢の木村留偉。絶好のチャンスに、石田は「この回で決めたい」と強く思った。 敦賀気比の2番手・米田涼平の直球を振り抜いた打球は二塁手を強襲し、打球は右翼へとはねた(記録は右前打)。判断が難しいタイミングだったが、木村は迷わず本塁を狙った。盗塁練習で培った、スピードを落とさない鋭いスライディングでタッチをかわし、間一髪セーフとなった。 昨夏の甲子園では1回戦で延長タイブレークの末にサヨナラ負けした。バントや走塁の成否が勝敗を分けたことから、冬には攻守で基本を重視した練習を繰り返してきた。 この日は守りでは無失策。攻撃では三つの犠打をきっちりと決め、勝負どころでの好走塁も出るなど、冬の練習の成果を発揮した。 チームは春夏の甲子園で通算20勝目を挙げ、石田は「(無失点の)投手に助けてもらった。次は打者陣が助けられるように」と早くも次戦を見据えた。前回出場した2021年大会は準優勝。先輩たちを超え、頂点に立つための戦いで、上々のスタートを切った。【黒澤敬太郎】