「女房を質に入れてでも」 名勝負盛り上げた『キン肉マン』名脇役・アデランスの中野さんとは?
『キン肉マン』を支えた担当編集者がモデルのキャラクター
2023年9月29日に亡くなった漫画編集者・中野和雄さんは名作漫画『キン肉マン』(作:ゆでたまご)の初代担当者として立ち上げから関わり、今も連載が続く本作の礎を築いた。また、作中に登場する「アデランスの中野さん」のモデルとしても知られており、『キン肉マン』に多大な貢献をした人物である。本記事では、中野さんにゆかりのあるアデランスの中野さんの登場シーンを紹介していく。 【写真】新作アニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編にも登場した「アデランスの中野さん」の姿 アデランスの中野さんの初登場シーンは、コミックス1巻「少女歌手と怪獣の巻」に描かれている。主人公・キン肉マンが憧れのアイドル・高原ナナの大阪コンサートに行った際、入口の行列の中にアデランスの中野さんらしき人物が写っている。この話での登場はこれだけで、名前も不明でセリフも無いが、その風貌はアデランスの中野さんそのものだった。 続く1巻「キン肉星からの使者の巻」では、キン肉マンが集英社の看板のかかったビルを投げつけるシーンで、ビルから放り出された人物の中にアデランスの中野さんらしき人物が写っている。また、1巻「いたずらアルバイトの巻」では、牛丼店でアルバイトをするキン肉マンと殴り合いのけんかになった際、自らを和雄ちゃんと名乗り、名前が明らかになった。 アデランスの中野さんは、ほかにもさまざまな話で登場するが、もっとも印象に残っているのは、妻を質屋に入れるシーンではないだろうか。コミックス2巻「プロレス大決戦の巻」で、キン肉マンがテリーマンのタッグと、アブドーラと猛虎星人のタッグが戦う一戦で問題のシーンが描かれている。試合開始前、徹夜で並んだというアデランスの中野さんは、縄で縛って質屋に入れた妻・公子のことを心配している様子が描かれている。令和の時代では描けないようなシーンだが、『キン肉マン』ならではのマイルドなギャグシーンとして成立させているのは驚きだ。 また、1987年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)での連載を終えた『キン肉マン』だったが、2011年より『週刊プレイボーイ』(集英社)の公式サイト「週プレNEWS」で連載再開されている。「週プレNEWS」版の『キン肉マン』でもアデランスの中野さんは登場している。コミックス39巻「“悪魔超人”バッファローマン!!の巻」で、悪魔超人のバッファローマンとスプリングマンに座席を奪われるアデランスの中野さんと、妻・公子が描かれた。 作中でこんなにイジられる中野さんだが、本人は編集者が漫画の中に出てくるのは好きではなかったと、19年11月29日に開催された『キン肉マン』40周年記念のトークショーで語っている。ただ、『週刊少年ジャンプ』で1975年から連載されいていたギャグ漫画『1・2のアッホ!!』(作:コンタロウ)の作中で登場していたこともあり、もう勝手にしてくれとあきらめていたようだ。 2025年1月12日からはアニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編Season2も放送される。Season1でも登場したアデランスの中野さんの再びの登場があるのかにも注目したい。
カキMONO.1