アークエッジ・スペース、「6U」衛星汎用バスの開発を完了–軌道上で実証へ
アークエッジ・スペースは11月1日、「6U」衛星の汎用バスの基本設計や開発、量産試験が完了したことを発表した。2021年度から開発を進めてきた。今後は軌道上実証のフェーズに移行する。 6Uは、10cm×10cm×10cmの立方体を1Uとして規格化された小型衛星である「キューブサット」の種類であり、6Uの大きさは10cm×20cm×30cm。 プロジェクトは10kg級の6U衛星の標準汎用バスや量産システム、複数の衛星の自動運用システムを構築する。2025年度までにこれらのシステムを利用した、7機で構成される多目的コンステレーションを軌道上で実証する。 プロジェクトで開発している汎用バスは、内部の構造やコンポーネントがモジュール化、規格化されている。共通部分である衛星バス部とカスタマイズできるミッション部の接合部分に、柔軟に設計を変更できるというミッションインターフェース(MIF)を採用している。 3U(10cm×10cm×30cm)の大きさであるミッション機器の搭載部を柔軟に載せ替えることで衛星開発にかかる費用や時間を最小限に抑えながらユーザーのニーズに応えた多様なミッションに対応できるとしている。 今後の軌道上実証では、汎用バスシステムの基本機能と標準搭載のIoT通信機能を備えた「基本モデル」のほかに、基本モデルをベースにミッション変更などを行った派生形として以下の4モデル、計7機の衛星の宇宙空間での有効性や実用性を検証する。 基本モデル:3U強の縦型ミッションスペースを確保しており、宇宙部品の軌道上実証などに利用可能 リモートセンシングモデル:衛星リモートセンシング向けに姿勢制御能力を向上したモデル。光学、多波長、近赤外線など様々な地球観測に活用可能 大型アンテナ搭載モデル:展開アンテナを搭載でき、海上向け通信である「VHFデータ交換システム(VHF Data Exchange System:VDES)」の軌道上実証で活用 光通信対応モデル:光通信向けに捕捉追尾制御などのより高度な姿勢制御が可能 ロケットの打ち上げ機会が増加するとともに打ち上げ費用も低減化が進んでおり、過去10年間に衛星などの打ち上げ数は過去最大の約11倍に増加したといわれている。特に、小型衛星を複数機で一体型で運用するコンステレーションに対するニーズは世界的にも高まりを見せ、短納期、低コスト化を実現しながら多種多様なミッションに対応しうる、6U衛星の実利用へ高い期待が寄せられているという。 プロジェクトは、2021年度に経済産業省に採択され、2023年度以降は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業である「迅速かつ効率的な多種類複数機生産を実現する6U標準汎用バスとその生産・運用システムの開発・実証」の一環として進められている。
UchuBizスタッフ