<注目>トランプ次期政権の政策指針「AGENDA 47」、自ら語った大胆公約、「Project 2025」はすでに反古に
我が国の足元には、無尽蔵の石油・天然ガスが存在し、われわれはこれら液体燃料採掘をフル始動させる。加えて原子力、クリーンな石炭、水力など入手可能なエネルギー生産を加速させる。 低コスト・エネルギー依存に切り替えることにより、物品生産コストは中国以下となり、インフレも低下し、雇用増につながる。電気自動車についても、ユーザーの購入自体に反対しないが、現行の優遇措置を撤廃する」 〈移民政策〉 「私は大統領就任1日目に、不法国内滞在者の子供達に対する自動的市民権供与を禁止する行政命令に署名する。私の政策は、継続的不法移民を封じ込め、移住者の流入を抑止すると同時に、バイデン政権が法に反して入国させてきた多くの外国人を母国に送還させることを意図したものである。 不法外国人滞在者の子供たちに自動的に市民権が与えられることもなく、社会保険番号、福祉サービスを受けられることもなくなる。行政命令は、市民権取得対象者を両親のどちらかが米国市民であることを最低条件とする。外国の女性たちのうち出産数週間前の妊婦が不法入国後、出産し、その後、米国内にとどまって公的健康保険対象者となるケースが後を絶たないため、私はこの“出産ツーリズム”にも終止符を打つ。 この行政命令は、南部国境からの不法移民流入に歯止めをかけ、外国人が不法に米国内に滞在し続けるためのインセンティブを断ち切るより大きな戦略の一部をなすものである」
共和党内から反対の可能性も
上記のように、トランプ次期大統領が個人的に掲げた公約はどれも大胆なものばかりだ。 しかし、上下両院で共和党が多数を制した第一次トランプ政権当時と同様に、党として必ずしも一枚岩でまとまっているわけではなく、公約の中の過激すぎる内容については、党内からも異論が噴出する可能性もある。 すでに今回、トランプ氏が発表した次期閣僚人事のうち、マット・ゲーツ司法長官候補については、過去のセックス・スキャンダル、汚職疑惑が取りざたされ、何人かの穏健派共和党有力議員が任命に反対していることから、今後の上院承認審議で否決される可能性が高まりつつある。 同様に、厳しい対中国政策についても、共和党内にも親中派議員が少なくないことから、公約自体がトーン・ダウンすることも否定できない。 いずれにしても、来年1月の新政権発足後、トランプ氏はいかに公約通りの政策を具体的に打ち出し、それを実現できるかが問われることになる。 もし、公約倒れに終わった場合、再選を果たせなかった前回同様、4年後の大統領選挙で再び厳しい裁きを受けることになるだろう。
斎藤 彰