レンジローバーのPHEVがかなり安くなってる! 理由は?
とはいえ、急にEVに移行するということになると、ユーザーからは不満や不安が出かねない。ジャガーやレンジローバーのファンであれば、大排気量で美しい音がするエンジンに強い思い入れを持っていても全く不思議ではない。そこで大事になってくるのがPHEVだ。ジャガー・ランドローバー・ジャパン マーケティング・広報部 プロダクトアナリストの蓮見昇陽さんはこう語る。 「内燃機関(エンジンを積むクルマ)に乗り慣れている我々が、急にBEVにシフトチェンジをすることには大きな心理的ハードルがあります。PHEVはEVに移行するまでの『ちょうどいいソリューション』です。完全にEVに移行するまでに、充電の仕方や電気でのドライビングなどを体験し、バッテリーでどのくらい走れるかに慣れていただければ、EVにもスムーズに移行できるはずです」 ■PHEV普及に向けた施策は? 日本でのPHEVの普及に向けてはラインアップの拡充と戦略的な価格設定に取り組んでいる。4ブランドだと今のところ「ディフェンダー」にPHEVの選択肢がないが、「110」というボディサイズでPHEVを導入するべく準備を進めているという。 価格設定はかなり思い切っている。例えば「レンジローバースポーツ」のPHEVは、2024年モデルに比べて2025年モデル(販売中のモデル)の方が250万円も安くなっているのだ。
なぜ安くできたのか。どうやって安くしたのか。どんな工夫があるのか。「大きな工夫はないんです(笑)」と話すのは、ジャガー・ランドローバー・ジャパン マーケティング・広報部 プロダクトマネージャーの生野逸臣さんだ。以下、生野さんから聞いた話をそのままお伝えしたい。 「当然、クルマには利益を乗せて販売しているんですが、(価格を下げるに際しては)単純にそれ(利益)を削っています。(こういう価格で日本で販売すると本社に説明=説得する際の)論法としては、1台当たりの利益は減るんだけど、その分、たくさん売れるようになれば、掛け算としていいでしょ、という話をするんですけど、普通であれば、こういう提案でOKをもらえることはまずありません。それが今回は、イギリス(本社)の理解があるからなのか、もっとPHEVを売っていかなければという提案をしたところ、『仕方ない』というような形でOKがもらえました」 つまり、何らかの素材を減らすなどのコストダウンを実施したわけではなく、単純に利益を削って値段を下げた、ということらしい。今回の価格設定については、英国本社で「副社長レベルまで」話を上げてもらい、OKをもらったそうだ。