福島県会津平野部で倒伏被害 適期の稲刈り遅れに懸念 収量減や品質低下の恐れ
稲刈りが本格化する中、稲が倒れる「倒伏(とうふく)」被害が福島県内で確認されている。特に県内屈指の米どころである会津の平野部で目立つ。穂が水に漬かってもみが発芽する穂発芽が一部確認されている。倒れた稲は刈り取りに時間を要する上、適期を逃すと亀裂が入る胴割れなどで収量減や品質低下につながる恐れもある。県は適期の刈り取りを引き続き呼びかけている。 会津坂下町や会津美里町など7町村を管轄する県会津農林事務所会津坂下農業普及所やJA会津よつばは、目視観察や農家への聞き取りで倒伏が例年より多いと評価した。夏場の夜間に気温が下がらなかったことや、7月下旬から8月上旬にかけて日照不足が続き、成長ホルモンの働きが抑制されず草丈の伸びが早かったことなどが要因とみる。9月に降雨が続いたことで被害が拡大し、全体的に刈り取り開始時期の遅れにつながっている。26日夜は会津地方などで雨が降り、再び作業が滞る心配がある。草丈が長く倒れやすい特徴の品種コシヒカリで被害が目立っている。
会津美里町新鶴地域のグリーンサービスでは、28ヘクタール分のコシヒカリが全て倒れた。倒伏の具合がひどく、刈り取りが困難な稲穂も見受けられるという。会長の新国文英さん(71)は「草丈が昨年より1割も伸びている。刈り取りは例年より2、3倍かかりそう」と不安を語った。 倒れた稲は土や水が付き、コンバインで思うように刈り取りできない。無理に刈り取った結果、稲が機械に詰まり故障したとの声も一部聞かれている。会津若松市北会津町の鈴木綱幸さん(53)の水田ではコシヒカリ全てが倒れている状況で、作業時間は昨年の2倍ほどを見込んでいる。 県によると、これまで収穫したコメに著しい品質低下は見られないとしている。県オリジナル品種「天のつぶ」は被害がほぼないという。