トランプ氏、軍事力行使も排除せず グリーンランドやパナマ運河巡り
トランプ次期米大統領は7日、南部フロリダ州の私邸「マララーゴ」で記者会見した。これまでも言及してきた米国によるデンマーク領グリーンランドの購入やパナマ運河の管理について、軍事力や経済的な圧力の行使も排除しない姿勢を示した。グリーンランドに関してはデンマーク側が取引に応じない場合、高関税を課すとも主張した。 トランプ氏は会見で、グリーンランドとパナマ運河に関して軍事力や経済的な手段を行使しないと保証できるかと聞かれ、「どちらも保証できない。経済安全保障のために必要だ」と述べた。 トランプ氏は会見で、北大西洋条約機構(NATO)の加盟各国の国防費について、国内総生産(GDP)比5%に引き上げるべきだとも主張した。NATOは各国の国防費の目標をGDP比2%としているが、達成しているのは加盟32カ国中23カ国にとどまる。各国にさらに高い要求を突きつけた形で、6月にオランダ・ハーグで予定されるNATO首脳会議で議論される見通しだ。 大部分が北極圏に位置するグリーンランドは地政学的な要衝で、米軍の基地もあるほか、ウランや金、レアアース(希土類)などの地下資源に恵まれている。トランプ氏は2019年にもグリーンランドの購入を主張し、デンマーク政府に拒まれた経緯がある。 トランプ氏の長男ジュニア氏は7日にグリーンランドを訪問した。ジュニア氏は「観光目的」と説明。ただトランプ氏は自身のネット交流サービス(SNS)で「これは絶対に行わなければいけない取引だ」と強調した。 一方のパナマ運河は、米国が建設し管理していたが、1999年にパナマ側に管理権を返還した。トランプ氏は「法外な通航料を要求されている」として、パナマ政府が通航料の引き下げに対応しない場合は、返還を求める姿勢を示している。【ワシントン松井聡】