どうなる?中日・松坂去就。現役続行希望も戦力外濃厚か
中日の加藤宏幸球団代表は1日、ナゴヤ球場内で2軍調整中の松坂大輔投手(38)と緊急会談を行った。松坂自身の意向を確認するための短い会談で、球団に対して現役続行の意思を伝えたという。現時点で、球団サイドの松坂の来季の契約に関しての方向性は「白紙」。中日は今月中に開かれる編成会議で、松坂の去就についても議論するが、あくまでも来季戦力になるか、どうかの基準で今後についての決定を下す考えで、中日残留の可能性は極めて低くなった。
「現役を続けたい強い意思」
加藤球団代表は、ナゴヤ球場内で、2軍の試合前に松坂の意向を確認する場を持った。マスコミが先導する形で、松坂の去就が騒ぎになっていたため、「松坂選手は日本球界の宝ともいえる功績を残している選手。特別扱いになるが、彼の去就について報道が色々出ているので、待っていられないと思い、たまたま2人のタイミングも合って意志を確認した」という。短い会談だったが、松坂は、来季への現役続行の意思を示した。 「話の内容は明かせないが、現役を続けたい強い意思は感じられた。球団として来シーズンの契約をどうするかは、まだ白紙の状況。今後、現場、編成と、話し合いをしながら決めていきたい」と加藤球団代表。 まだ球団サイドの方向性は「白紙」のため、この会談で松坂に、球団の方針が伝えられることはなかった。今月中に行われる来季に向けての編成会議の中で松坂についても議論が交わされ、その去就が決められるという。 では球団の決断はどうなるのだろうか? 松坂が残留するためにクリアしなければならない要素は3つある。 (1)ローテー戦力として計算が立つ(2)グッズ販売、観客動員などの営業力(3)若手への手本、指導力。昨年は、これらの3要素を松坂は満たしていた。 松坂は、一昨年オフにソフトバンクを戦力外となったが、西武時代から旧知の森繁和監督(現シニアディレクター)、デニー友利氏らが間を取り持ち“入団テスト”を行い、肩が完治していることを確認した上で、推定年俸1500万円プラス出来高で中日に入団した。 沖縄キャンプから大フィーバーが起き、松坂は11試合に投げ6勝4敗、防御率、3.74の成績を残した。オールスターにも選ばれ、カムバック賞を獲得。松坂効果でグッズが飛ぶように売れて観客動員も飛躍的にアップした。 オフの契約更改で年俸は8000万円となり背番号も「99」から「18」に変更。2年目は、登板試合数の増加が期待されたが、今季は沖縄キャンプでファンに腕を引っ張られて肩を痛めたことからスタートに出遅れた。ようやく7月16日の阪神戦で今季初先発して5回2失点とゲームを作ったが、続く27日の横浜DeNA戦では、1イニングを投げきることができずに8失点の大炎上。ワンアウトしか取れずプロ最短で降板して2軍落ち。その後、右肘に違和感を覚え、リハビリ中だった。 営業面のプラス効果は1軍で投げてこそ比例してくるもの。今季に限っては(1)と(2)の要素は満たしていない。「松坂世代」という言葉を生んだ“レジェンド”の存在は、若手にとって絶好の教本だが、5月のリハビリ期間中に球団に無断でゴルフをしていた問題を写真週刊誌にスッパ抜かれて厳重注意を受けるなど、その野球に取り組む姿勢にもケチがついた。 球団サイドは「来季の戦力になるかどうか」の点を契約更新を判断する一番のポイントに考えているという。今季の0勝1敗、防御率16.88の数字と、肩、肘への不安を考慮すると、戦力としての計算は立ちにくく戦力外となる可能性が極めて濃厚だ。