老後の生活設計では「どこで、どのように暮らすか」を考えることが重要である。そのヒントとなる「地域包括ケアシステム」という仕組みとは
「地域包括ケアシステム」という言葉があります。一般的には耳慣れないかもしれませんが、老後の生活設計を組み立てるうえでは、非常に重要な考え方です。国は現在地域包括ケアシステムを積極的に推進していますが、国民レベルでの理解が思うように進んでいないのが現状でしょう。 今回は、老後の暮らしを想定した「地域包括ケアシステム」について一緒に学んでいきましょう。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
地域包括ケアシステムとは
2040年、いわゆる団塊ジュニア世代が65歳になる頃が、高齢社会のピークと考えられています。そして、その親の世代である団塊世代が75歳になるのが2025年です。目の前に超高齢化の波が押し寄せてきていますが、国は2025年をめどに、地域包括ケアシステムを構築しようとしています。 地域包括ケアシステムは、簡単にいってしまうと、地域全体で高齢者を支える仕組みのことです。 図表1は地域包括ケアシステムのイメージですが、「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される」と記されています。 図表1
出典:厚生労働省 地域包括ケアシステム 現役世代にとっては、高齢期のライフステージをイメージすることは難しいかもしれませんが、特に75歳以上の後期高齢者になると、老化や病気などにより、それまでと同じように暮らすことが徐々にできなくなってきます。 そのようなライフステージにおいては、ひとり暮らしは難しく、家族や地域の人々といった自分以外の人の支えがどうしても必要になります。このような高齢者を地域で支える仕組みを「地域包括ケアシステム」といいます。
老後の生活設計では「どこで、どのように暮らすか」が重要なポイントになる
図表1では、「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される」と記されています。この文章を分解すると、以下のようになるでしょう。 (1)重度な要介護状態となっても (2)住み慣れた地域で (3)自分らしい暮らしを (4)人生の最後まで続けることができるよう、 (5)住まい・医療・介護・予防・生活支援が (6)一体的に提供される これをもとに老後の人生設計のポイントを整理すると、「最期を迎えるまでの間、自分らしく生きるために、どこでどのように暮らせばよいか」を考えておくことが、大切であると分かります。 要するに、老後のライフステージでは上記の考え方が基本軸になるため、このような体制を整備するために地域包括ケアシステムがあるということです。そう捉えると私たち個人も、地域社会のなかでどのように暮らすかを考えておく必要があることに気づかされます。