老後の生活設計では「どこで、どのように暮らすか」を考えることが重要である。そのヒントとなる「地域包括ケアシステム」という仕組みとは
老後のお金は、地域社会で生きるために準備する
昨今、将来への不安から「お金をためよう」という心理が強く働いているように感じられます。少子高齢化社会の下では致し方ないことかもしれませんが、「老後が不安だから」などといった理由だけではっきりとした目的がないまま、お金をためること自体が目的化しているように見受けられます。 老後のお金をためる目的がはっきりと見えにくい場合、地域包括ケアシステムという社会的な仕組みのなかで、自分がどのように暮らしたいかを考えてみると、イメージしやすくなるかもしれません。 ・病気になったら、地域医療(二次医療圏)のなかで、どの病院を利用することになるのか ・退院後、どこで暮らすのか(自宅、老健、特養、有料老人ホーム、サ高住など) ・介護が必要になった場合、どのように暮らしていく必要があるのか ・自宅の改修はどのようにしたらよいか ・誰と生きるのか、誰と暮らすのか(家族、友人、同僚、地域社会、ボランティアなどの人間関係) ・葬儀はどのように執り行うのか ・お墓はどのような形態にするのか ・相続や贈与による財産の移転をどうするのか ・誰に相談すればよいのか このようなことを包括的に考え、対策を練るためにお金を準備します。このとき、単に「老後のお金」というと、漠然としたものになってしまいます。そうではなく、具体的なイメージに落とし込んでいくことが、老後のお金をためるうえで効果的なのではないでしょうか。
まとめ
時代は、かなり速いスピードで変化しています。仕事柄、国の政策などを追っているとそう感じることが間々ありますが、国が想定している10年・15年先の未来を確認しながら、人生設計(ライフプラン)を組み立てていくと、大きく間違う可能性は減るでしょう。 4月に金融経済教育推進機構(J-FLEC)が新設され、今後、金融教育が積極的に推進されるようになります。その目的は「お金とは何か、何のためにお金を使い、ためるのか」などを自分で考えられるようになることです。 今回は「地域包括ケアシステム」という言葉を扱いました。新たな社会システムが構築されようとしています。お金の使い道としては、これを視野に入れて考えることが求められるようになるのではないでしょうか。 出典 厚生労働省 地域包括ケアシステム 執筆者:重定賢治 ファイナンシャル・プランナー(CFP)
ファイナンシャルフィールド編集部