牛角はなぜ炎上した「女性半額キャンペーン」を強行したか?焼肉店を悩ます“平日夜の集客”の難しさとは
人気の焼肉食べ放題。少しでもお得に食べようと、ネット上に氾濫する焼肉店情報やキャンペーン情報を収集する人々。焼肉は外食の中では高めだが、食べ放題ならリーズナブルな方である。 重い食事だからそんなに頻繁に食べるものではないし、一か月に一度食べたら十分だろう。最近は、店側もネットを通じてすぐに情報を発信でき収集もリアルタイムだ。 またSNSで自らの意見を発信できる環境に、店はメリットを感じながらも、神経過敏になるものである。今回、焼肉食べ放題で人気の牛角が「女性が食べ放題コースを注文すると半額」になるキャンペーンを実施し、SNSで男女差別だと炎上した。 焼肉チェーン店で店舗数1位の牛角だから、世間からの影響は大きかったように思える。店側からすれば、ここまで大騒動になるとは想定してなかったはずである。 なぜ女性だけが半額というキャンペーンを実施したのかという質問に、過去の追加点数の実績から、その科学的根拠を説明していたが、そこまで要求されるとは、今のSNSは怖い存在だ。
食べ放題店の性別・年齢別の価格設定は難しい
どこの店も平日のディナーの集客に苦労しており、あの手この手で集客しようと、平日限定の企画を実施している。 女性が集まれば男性も集まるということで、女性だけの割引を恒久的にレディースデーとして実施している店は多くある。女性だけを優遇している店は珍しくない。それとは別に、食べ放題を実施する店で年齢を基準に価格差をつけて安くする店が殆どだ。 一般の人以外の割引価格の設定は難しく、子供料金やシニア料金については難しいところだ。それらは、過去のお客さんの追加シュミレーションを基に粗利ミックスを算定して検討する。 店側も採算を考えた上、価格設定するが、その価格差もけっこう難しい。その際、子供料金やシニア料金の設定についてもお客さんが合理的に納得できる価格にしなければ、批判の的になるものだ。 スポーツをしている小学生はよく食べるし、健康寿命が延びている中で最近の肉食シニアの肉の喫食量は凄まじいものだ。店も利益を確保しなければ店の存続が困難だから、あまりお客さんが得をするだけの価格には設定できない。 ましてや、上昇を続ける諸費用が経営を苦しめている中では難しい。多くの店が食べ放題を実施するなど競争環境も厳しい中、店が設定する価格には限度がある。 食べ放題を継続的に実施できなくなれば、お客さんの方が困るかもしれない。年齢別の割引料金は性善説に基づき、自己申告で注文を受け付けているから、微妙な人の扱いは難しい。 例えば、幼児無料となっているが、本当に幼児か?、また、本当に小学生か?本当にシニアか?など、店側は最初の注文時に、一応確認するが、お客さんに身分証明書の提示を求めることはしない。それをすると、最初の段階でお互いが気まずくなるから、あくまでもお客さんの言うことを信じるしかないのである。