牛角はなぜ炎上した「女性半額キャンペーン」を強行したか?焼肉店を悩ます“平日夜の集客”の難しさとは
焼肉は高級というイメージを払拭した食べ放題店
そもそも、焼肉は高いものというイメージが定着していたが、1991年の牛肉の輸入自由化をきっかけに、安く食べられるようになった。 今となっては当たり前にある焼肉食べ放題も、仕入れ原価が低くなったから可能になった商品であり、食べ放題文化を30年以上に渡り浸透させたのである。 そうやって焼肉食べ放題の店が全国に広まったことで、これまで贅沢な食事とされていた焼肉が、若者層でも容易に食べられるようになって、焼肉業界の成長は加速した。 また、食べ放題の普及で、お客さんもいろいろな店に行って相当な学習をされ、店に対する要求水準も高くなった。店側もその要求に応えないと生き残れないから、必死に聞き入れ、それらを実現した店が競争上の差別的優位性を持てたのだろう。 家族客や若者に人気の焼肉食べ放題も、2006年からテーブルオーダーバイキング方式を採用する店が出現し始め、品揃えも焼肉だけという単調なメニューではなく、サイドメニューも食べ放題のフルメニュー食べ放題(デザートは人数分かデザートコーナーで食べ放題)が標準になった。 ますます食べ放題は中身を充実させて進化しているが、価格を維持することは困難になってきた。 どの店も高くなり、安くて3000円税別、高い店は5000円税別が当たり前となってきた。 この価格では、この物価高で生活が苦しい人が増えている中、一般の人が焼肉に行くのが困難になるのは当然か。店側もあらゆるコストが上がるなど経営環境が悪化する中、これ以上の価格低下やサービス拡充は難しいのが実情で苦難の状況だ。
焼肉店は平日と週末の客入りが極端に違う。平日の集客策が肝要
そもそも、外食店はあまりにも平日のディナー時間帯が入らないから、店を継続させるのに苦労している。店は人なりで、アルバイト比率の高い外食は人の管理が難しい。 売上の増減に対する調整弁となり変動費的要素であるアルバイトも、あまり時間をカットしたら、辞めてしまう。また新たな人を雇用するのは大変な手間と育成コストがかかるから、暇な日でもある程度の時間保証をしてあげて、離反防止に努めることが必要だ。 そのためにも平日にお客さんに来てもらう企画を実施しないといけない。何もせずに経費を削減するのみの店もあるが、やはり店をやる以上は、店内を活性化させることが肝要だ。 以前、男女関係なく、平日半額を実施していた焼肉店もあった。週末が休日という人が多い中、極端なことをするなと思っていたが、続かなかったのは当然であった。 平日に行ったら安く食べれて、週末に行ったら通常料金という不公平感から不満が噴出したと聞く。焼肉店は、週末は行列ができるくらい盛況だが、平日は閑散としているのが現実だ。 そういった曜日指数が極端すぎる焼肉店は、運営管理にメリハリはつけられるものの、売上の平準化を目指したい店側の思惑がある。その為に、平日にさまざまなキャンペーンを実施し、集客力を強化しているのである。 筆者も自ら焼肉店を経営していたから、この平日と週末の売上の違いは、心と体がついていかず苦労したものだ。 ディナーだけで採算が取れている焼肉店なら、それだけで十分だが、平日のディナーが入らない分、ランチ営業して売上を補完するのである。 もちろん、ランチをやることにより、食材の有効活用ができる(ディナー時の余りや端材を有効活用して食材ロスが削減)、ディナーへの広告宣伝費になる、同じ家賃を払うなら店をフル稼働させて支払い負担が軽減できる、現金払いが多いので資金繰りが助かるなどのメリットもあるが、できれば効率的に稼ぎたいからディナーに経営資源を集中させたい店は多いはずだ。