【今夜放送『光る君へ』44話は「望月の夜」】道長も見た月に潜む「地球との“ただならぬ関係”」 “月の誕生”に関わる、重大な「3つの説」とは?
今回は、月の誕生について、わかりやすく解説していきます。 月の誕生には、大きく以下の3つの説が議論されてきました。 月の誕生「3つの説」 1 双子説 太陽系が生まれるときに、地球と同じ場所で月も一緒に誕生した 2 夫婦説 地球と月は別々の場所で生まれ、あるとき偶然出会い、重力でひかれ合って一緒に過ごすようになった 3 親子説 巨大天体が衝突し、地球の一部がはぎ取られ、やがてひとつに集まって月が生まれた 「2の『夫婦説』が答えじゃないか?」と思った人は……ずばり、ロマンチストです! 月誕生の3つの説は、ロマンチストを探すのにもってこいなんです。
と、冗談はさて置いて、本題に入りましょう。 ■「双子説」と「夫婦説」は却下? 地球は「岩石惑星」と呼ばれていて、おもに岩石でできています。ただ、中心部には大きな金属の核があり、すべてが岩石というわけではありません。 月もおもに岩石でできています。地球のように中心部には金属の核があるようですが、その量はとても少ないのです。 地球が生まれるときに月も一緒に誕生したとする「双子説」だとすると、中身はもっと似ているはず。中心部に含まれる金属量が大きく異なることから、「双子説」は却下されました。
中身が違うのなら、別の場所で生まれて偶然出会った「夫婦説」が有力では? と思いますよね。 しかし、地球と月は中心部のつくりは違いますが、外側の岩石の部分を比べてみると、赤の他人とは思えないほど似ていたのです。 この事実は、アポロ計画で月から持ち帰った石の分析から判明しました。少し難しいですが、「酸素同位体」というものの比率が地球と月でとても似ていたのです。 ということで、「夫婦説」も却下となりました。
現在、「約45億年前に、火星(地球の半分)くらいの大きさの天体が、地球に衝突して大地の一部をはぎ取り、そのかけらが集まってできたのが月である」というシナリオが有力視されています。専門用語で「ジャイアント・インパクト説」といいます。 つまり、月は「地球から生まれた子ども」だというのです! ■「親子説」に残る解決すべき課題とは いま、自分の踏みしめている大地と同じものから月ができていたなんて、驚きですよね。