「トラウマ」サバイバーになって復活するために必要なこととは? 誰もが備えている【回復力】の活かし方
「トラウマ」とは自分の脳や身体を圧倒するような出来事のことをいいます。その瞬間、私たちは茫然自失となってしまいます。 【データ】10人に1人が、配偶者からの繰り返しDVを受けている それは、ある種の精神的な「解離」です。 ふだんであれば、自分の身体は自分のものであると実感していますよね。しかし、身体のイメージをはじめ、意識、記憶、思考、感覚、行動などが分断される体験を「解離」といいます。 たとえば、ある場面や時間の記憶が抜け落ちてしまい、その間はいつもの自分らしくない行動をとってしまうなどです。 今、自分に何が起きている事を理解できない状態です。 人間の脳はいくつかの部位に分類されていて、自律神経に関係している大脳辺縁系を「古い脳」とし、知覚や知性に関係する大脳新皮質を「新しい脳」ととらえられています。 我を忘れるような出来事が起きた時、私たちの脳で使われるのは、扁桃体という大昔からの「古い脳」の部分です。 人間や動物の進化の過程で、危機的な状況に陥った時に反応をするための脳の一部です。 「古い脳」は精神的、肉体的に圧倒される瞬間、「闘うか、逃げるか」の原始的な反応のどちらかを選択します。
「今すぐ逃げろ!」と、身体中の神経が叫びます
本能的にすぐに逃げなくてはいけない!と瞬時に感じとれればいいのですが、できなかった時に、脳の扁桃体がぼやけた写真を撮るように、その体験を記憶してしまうことを「トラウマ」と言います。 「古い脳」は危険が去った後でも、この圧倒された経験を記憶に定着させてしまいます。つまり、人生において未解決の問題を脳内に抱えてしまうということになるのです。 しかし近年、「トラウマ」は克服できるということがわかってきました。 本来、私たちはトラウマから回復して学習できる能力を持っているのです。 皆さんも経験したことはありませんか? 大きな問題に直面し、それを乗り越えた時に困難から何かを学んで自信ついたという経験を。問題の大きさは人それぞれでも、何かを克服できたという思い出はあるのではないでしょうか。