介護保険制度を分かりにくいと感じていませんか? 介護老人「保健」施設と介護老人「福祉」施設の違いについて解説
介護保険サービスの具体的な内容をある程度理解している人は、意外と少ないかもしれません。介護保険料を納めているものの、どのような介護サービスを受けられるかはよく分からない……。そんな方は多いのではないでしょうか。 介護保険制度を理解するには、老後の生活設計において、まず「どこで暮らすか」をある程度イメージする必要があります。 本記事では介護保険制度を理解するに当たり、介護が必要になった場合に利用できる施設について解説していきます。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
介護保険制度が分かりにくい原因は、言葉の問題
おそらく一般的には、介護施設というと「老人ホーム」が頭に浮かぶかもしれません。このときの老人ホームのイメージは、いわゆる「特別養護老人ホーム(特養)」を指すことが多いようですが、多かれ少なかれ「施設に入所して何らかの身体介助を受ける」という漠然としたイメージではないでしょうか。 このように、介護保険制度を分かりにくくしている原因の一つとして、言葉の問題が挙げられます。 先ほどのように、多くの人に「介護施設≒老人ホーム≒特養?」といったイメージがあることが多いため、自分がどのような介護サービスが受けられるか、理解する前の段階で、よく分からなくなってしまいます。 このため、まず、介護サービスを受ける場所について知る必要があります。ポイントは前回の記事でも言及したように「在宅か、施設か」の2択であり、介護保険制度を理解するに当たり、本記事ではまず「施設介護」について取り上げます(在宅介護については、このシリーズの最後に言及する予定です)。
介護老人「保健」施設と、介護老人「福祉」施設という言葉の違い
いわゆる介護施設について理解しようとする場合、介護老人「保健」施設と介護老人「福祉」施設、という言葉の違いに着目すると、分かりやすくなります。前者には「保健」という言葉が付されており、後者には「福祉」という言葉が使われています。 簡単にいうと、ここでいう保健施設とは「施設内に医師がいて、リハビリを受けながら生活する場所」という意味です。一方、福祉施設は単に「生活する場所」を指します。 つまり、介護老人保健施設は、介護が必要な方が医師の診療に基づきリハビリを受けながら暮らす場所で、介護老人福祉施設は、介護が必要な方が生活をする場所、という意味になります。 介護老人保健施設はもともと老人保健法から創設しており、介護老人福祉施設は老人福祉法から生まれたものであるため、このような違いが生じています。また、両者は共に介護保険法に規定されるものでもあるので、介護保険サービスが受けられるようになっています。