売れ残る物件の特徴とは? 資産性が下がる「リノベーション」の落とし穴
マンションの価格高騰が止まらず、都心のマンションを中心にバブル期超えの最高値を更新している。しかしその中でも、資産性を維持できる「選ばれるマンション」と資産性を落とす「選ばれないマンション」の物件格差がかつてないほど広がっているという。本稿では、マンションをリノベーションする際の注意点について、書籍『マンションバブル41の落とし穴』より紹介する。 【解説】都心のワンルーム物件が初心者に向いている理由 ※本稿は、長嶋修著『マンションバブル41の落とし穴』(小学館)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
リノベーションをするときの6つのポイント
長く住んでいると家族構成が変わり、住んでいる人もだんだん年齢を重ねていきます。30歳から住み始めて30年経ったら60歳になるわけですから、子どもは巣立ち、自分たちのライフスタイルも変わっていくなかで、使い勝手を良くするためにリノベーションを考える機会は増えるはずです。 これから買うなら可変性が高く、リノベーションをしやすい物件を選ぶことをおすすめします。いつか物件を売るとしても、可変性の高さはセールスポイントになるでしょう。 逆に可変性が低く、リノベーションが難しい物件を選んでしまうと、後々「こんなはずじゃなかった」と後悔することになるかもしれません。あまり知られていませんが、世の中には意外とリノベーションが難しい物件が多いのです。リノベーションをするときには次のポイントをチェックしてください。 ①階高が3m程度ある 階高とは、床スラブから上階の床スラブまでの距離のこと。スラブとはコンクリート製の構造床のことです。天井裏や床下には給排水管や電気配線などを通すためのスペースが設けられるため、階高は室内から見た天井高よりも高くなります。階高が3m未満だと、リノベーションで床を上げることになったときなどに圧迫感が出るため、思うように工事ができなくなるリスクがあります。 ②二重床・二重天井になっている コンクリートのスラブの上に、直接フローリングなどの仕上げをした床を「直床」と呼びます。これに対しスラブ面と仕上げをした床の間に空間が空いている床を「二重床」と呼びます。同様に、天井スラブに直接仕上げがしてあるのが「直天井」、空間が設けられているのが「二重天井」です。 直床や直天井だと空間がないので、最初に設置した照明器具の電気配線や給排水管を移動するのが難しくなります。その点、二重床や二重天井はこれらの移動が比較的簡単で、間取りの変更がしやすいと言えます。 ③床に段差がなくフラット 段差がある場合、高いところは下に給排水管が通っていて、低いところは直床というパターンがあります。この場合も給排水管の移動は難しく、リノベーションで水回りの位置を移動するのが困難なことがあります。 水回りは移動しないとしても、子どもがつまずいたり、高齢になったときに使いづらくなったりすることも考えられるため、床はなるべく段差がなく、フラットなほうがベターです。 ④室内に梁や柱型がない 天井に沿ってが突き出していたり、部屋の隅に柱が張り出していたりすると、家具を置く場所が限られてきます。最近では柱や梁を室外に出すアウトフレーム工法といった技術もよく採用されているため、このようなすっきりとした工法で作られている部屋が望ましいでしょう。 ⑤排水管が床スラブの上を通っている 排水管は床スラブの上を通っている場合が多いのですが、古い建物だと床スラブを貫通し、床スラブと下の階の天井の間に排水管が通っていることがあります。この場合、下の階の天井裏を解体しないと配管が交換できない場合があり、非常にメンテナンスがしづらいため、極力避けたほうがいいでしょう。 ⑥パイプスペース(PS)が部屋の隅にある 物件の間取り図によく書かれている「PS」の文字。これはパイプスペース(またはパイプシャフト)の略です。給排水管やガス管を収める場所で、基本的には移動できません。PSが部屋の外や端のほうの邪魔にならない場所に設置されているのが理想ですが、物件によっては微妙な場所に設置されていて、間取り変更が制限されるケースもあります。 さて、ここまで可変性という観点から見た主なチェックポイントを挙げてきました。新しいマンションは、基本的には可変性を考えた作りになっている場合が多いため、問題になりがちなのは築古の物件です。 通常のマンションは、管理規約に専有部の改修細則が定められていますが、古い物件になると、きちんと定められていないことも。リフォームはマンションの知識の乏しい業者が行う場合もあるため、規約など気にせず工事してしまい、後々騒音だの違反だのトラブルになりがち。せめて規約の細則がどうなっているかは事前に確認しておきましょう。