「バレたら退去?」都市部で頻発の“猫のコッソリ飼育”、9年飼っている実例をもとに弁護士が解説
分譲マンションならではの飼いにくさ
居住者=オーナーが半分以上(推定)、その他はAさんと同じ賃借人。近隣住民の入れ替わりがあまり激しくないのはメリットか、それともデメリットか? 「2つ隣の部屋に口うるさいおじいさんが住んでいたんです。昼間はいつもマンション内や周辺をウロウロして、何か問題がないかと目を光らせていましたね。このマンションには来客者用駐車場があって利用時間の上限が決まっているんですが、管理人でもないのに時間をチェックしていました。 ちょっとでも超えると怒鳴り込んでくるようなおじいさんで。その人だけには絶対見つからないようにと思っていたんです。でも1年くらい前に転居していって、今はホッとしています」 たしかに、分譲オーナーが隣人の場合は、短期間で退去する望みがかなり薄くなる。また、他にも分譲マンションならではのわずらわしさがあるという。 「古い建物ですが維持・管理はしっかりしています。年2回の排水設備点検があり、かなり大規模な修繕工事も数回ありました。もちろん拒否はできないので、ねこはその都度、ペットホテルなどに預ける必要がありました」 1週間にわたる室内工事が入ったこともあった。その際は「1週間もボックスに入れられたままだとかわいそう」と、部屋貸しタイプのペットホテルを探した。出費は5万円ほどだった。 「2~3歳くらいまでは毎日ドタバタと活発に走り回っていたし、共用廊下に何度か脱走したこともあります。正直、隣の人にはバレているのかもしれません。 見て見ぬふりをしてくれているのか、何も言われたことはなくて……いつバレてこの部屋を追い出されてもおかしくなかったけれど、ラッキーとしか言いようがないですね」 いろいろあって今は安定。引っ越すのがむしろ不安 飼い始めた当初は近いうちにペット可物件に引っ越そうと思っていたというAさん。手狭なので転居したい気持ちは変わらずあり、常に探してはいるものの、引っ越せずに賃貸契約を更新し続けている。その理由は何より、ペット可物件が少なすぎることだ。 「物件検索サイトでほかの条件を入力・検索してから、“ペット可”を追加すると件数が10分の1くらいになったり、ゼロになったりします。貸主さんがペット禁止にしたい気持ちはわかりますが、なんとかならないですかね……」 これは、ペットを飼うすべての人につきまとう悩みだろう。さすがに次もペット不可物件に引っ越す選択肢はありえないというAさん。 「今の家はなんとなく環境がわかっていたからねこを飼う決断ができました。ナイショで飼い始めてもうすぐ10年。私もねこもこの環境に慣れすぎていて、今はあまりストレスなく生活できています。 ペットOKの家が見つかれば何よりですが、隣人がどんな人か、実際の住み心地がどうかわからないまま、ペットNGの家に引っ越すのは怖いですね」