【NBAファイナル】ルカ・ドンチッチがクリスタプス・ポルジンギスとの確執を否定「なぜそんな話が出てくるのか分からない」
ポルジンギスは2019年から2シーズン半マブスに在籍
セルティックスはプレーオフで快進撃を見せ、NBAファイナル進出を果たしたが、クリスタプス・ポルジンギスはヒートとのファーストラウンドでふくらはぎの筋肉を傷め、第5戦以降の1カ月近くを欠場した。それでもNBAファイナルまで期間が空いたことも幸いし、現地6日の初戦からプレーできる見込みだ。 「状態はかなり良くなってきた。ここまで来るのに時間がかかったけど、その分までプレーを楽しみたい」とポルジンギスは言う。 ポルジンギスには2019年から2シーズン半に渡りマーベリックスに在籍した過去がある。そのNBAファイナルが近づくにつれ、ルカ・ドンチッチとポルジンギスの不仲説が浮上してきた。『Run It Back』に出演した元NBA選手で、マブスでプレーした経験もあるチャンドラー・パーソンズは「ドンチッチはポルジンギスのプレースタイルが好きではなく、両者の間には確執があった」と語った。 これについてドンチッチは「だからその手の番組は見ないようにしているんだ」と答えている。「なぜそんな話が出てくるのか分からないけど、全然違うよ。僕はこれまでチャンドラー・パーソンズとは2回ぐらいしか話したことがない。だから彼がなぜそんなことを言い出すのか分からないよ」 それでは、ポルジンギスのマブス時代を振り返ろう。ニックスでプレーしていたポルジンギスは左膝前十字靭帯断裂の大ケガを負い、2018-19シーズンを全休。復帰よりも先にマブスにトレードされた。そのポルジンギスにマブスはマックス契約を提示。ダーク・ノビツキーの引退後、ドンチッチとポルジンギスのデュオにチームの将来を託す構えだった。 しかし、ポルジンギスは2019-20シーズンに戦線復帰を果たすも大ケガの影響が残り、新型コロナウイルスの影響による超変則スケジュールも重なって本来のリズムを取り戻すのに苦労し、本領発揮には至らず。コンスタントにプレーできず、プレーオフでは2年連続でクリッパーズ相手にファーストラウンド敗退。急成長を続ける若きドンチッチへとマブスのパワーバランスは傾き、ポルジンギスは批判の的となっていった。 2人のコンビネーションには問題があった。当時のドンチッチはすべてを自分でやろうとし、ポルジンギスは脇役に回った。2年目のシーズンを終えた時点でポルジンギスは自分の役割を「フロアスペーサーでありディフェンダーだ。得意でなくともチームに貢献できるなら何でもやる」と語ったが、「今後もその役割を続けられるか?」と質問されると「分からない」と力なく答えている。 ポルジンギスは持ち味であるオールラウンドな能力を発揮できず、それは彼の復調まで意識が向かなかったドンチッチの責任でもあった。2021年オフに就任したジェイソン・キッドは、ドンチッチ偏重のバスケからの脱却をテーマとし、ポルジンギスに大きな期待を寄せたのだが、そこでもポルジンギスはケガで十分なプレーができず、そのシーズンの途中でウィザーズにトレードされた。 キャリアの危機に陥っていたポルジンギスはウィザーズで復調し、今シーズンからセルティックスでプレー。マブスはポルジンギス放出の数カ月後に、ジェイレン・ブランソンとスペンサー・ディンウィディがドンチッチの脇を固める体制でカンファレンスファイナル進出を果たした。ブランソンの退団により方向修正を余儀なくされたものの、今はドンチッチとカイリー・アービングのデュオで優勝に手が届くところまで来ている。 結果としてマブスのポルジンギス放出という判断は正しかったし、それはポルジンギスにとっても復活の呼び水となった。そして、ドンチッチもあの時期に成功を収められなかった経験から学んだことで、カイリーという個性と上手く折り合いを付けられるようになった。 「確執がある」と言い切ってしまうのはパーソンズの勇み足だろうが、当時のドンチッチとポルジンギスは確かに嚙み合っていなかった。それでも、その失敗を糧にできたからこそ今がある。ドンチッチとポルジンギスには『健全なライバル』として、NBAファイナルの舞台で素晴らしい戦いを見せてもらいたい。