センバツ2023 彦根総合、野球部OBの兄弟 後輩の活躍に「負けない」 /滋賀
◇3年・田中徳人さん、自らの成長の糧に 兄・秀明さん、高野連審判員で恩返し センバツ初出場を決めた彦根総合の活躍に野球部OBたちもエールを送る。田中秀明さん(23)と徳人(のりひと)さん(3年)兄弟も笑顔で後輩たちの躍進を祝福する。【飯塚りりん】 弟の徳人さんは外野手で、最後の夏の大会では控え選手で一塁コーチャーを務めた。同校は2020年に宮崎裕也監督(61)を招いてチームの改革に着手。実力ある選手たちが入学してチーム内の競争は活性化し、徳人さんら3年生もベンチ入りは容易ではなかった。それでも後輩が入ってくる前の冬は「下級生には負けない」とボールに触らず、ひたすら筋力トレーニングに費やし、メンバー入り。野球に向き合う姿勢や気さくな人柄で後輩から「徳さん」と呼ばれ慕われた。宮崎監督も「ベンチ入りを諦める3年生もいる中で最後まで努力を怠らなかった」と評価する。同部員としては珍しいフードクリエート科で学び、料理人を目指す徳人さんは後輩たちがつかみ取った春切符に「2年生は野球にがむしゃら。どんどん強くなるはず」と期待する。 秀明さんは18年卒で、弟と同じく外野手。公式戦では三塁コーチャーを務めた。「自分の頃は県大会2回戦突破が最高だったが、昨春のベスト4や昨秋の優勝は本当にうれしかった」と喜ぶ。卒業後は「お世話になった高校野球に恩返しがしたい」と会社勤めの傍ら、県高野連の審判員をしている。 昨年6月に採用され、昨夏の選手権滋賀大会での研修期間を経て同11月の1年生大会で公式戦デビュー。審判員として一歩を踏み出したばかりだが、「選手も審判員も観客に見られているという点では同じ。後輩の活躍に負けないよう、自分も正確なジャッジをして球児たちがいい環境でプレーできるようにしたい」と意気込む。 2人は「自分たちの時にはなかった広いグラウンドで野球ができるのは大きい。夢の舞台でのプレーは緊張すると思うが恐れずに楽しんでほしい」とエールを送った。