メイプル超合金の安藤なつさんに聞く、「介護現場で見た、親と子とお金」。
自身の「時間」や 「これから」を大切にして。
介護は、子ども側の気持ちや時間、お金に余裕がないとスムーズにいかないものだと安藤さん。 「私自身、夜間巡回に携わったことがあるんですが、夜間巡回は介護家族の睡眠時間の確保のために必須です。子ども側は頑張ってしまいがちですが、介護疲れで倒れてしまったら元も子もありません。また親に全力を注いでも、亡くなった後、介護の間に注ぎ込んだ時間やお金は取り戻せません。その後に続く自分の人生、そのために必要なものを大事にしてほしいです」 心も体も、一定の距離感を持って介護に向き合っていくのが理想のカタチ。 「そのために様々な専門職の人がいます。介護サービスは年々充実しているので何でも相談して、お金にまつわる悩みも一人で抱え込まずに、プロに聞いたほうがいいと思います」 介護はフルオーダーメイドともいわれる。プランの設定はプロに任せるとして、子どもにできることは何だろう。 「たくさんサービスがあっても、どんなことに安心するかは個々で違います。本人が何を欲しているのか、何を生きがいとしてきた人物なのかなど、親の人となりをプランを作る専門家にできるだけ伝えるのが、家族の役目だと思います。また、外部との調整や交渉、手続きなどは、現役世代の子どものほうが向いています。そして、適切なサービスや制度を探すには情報収集が不可欠ですから、ネットに親和性が高くリサーチ力がある子ども側が、率先して行えばいいのではないでしょうか」
似た境遇のコミュニティを大切にし、情報共有を。
そのために役立つのが、似た境遇のコミュニティに参加すること。 「リアルでも、ネット上でもいいです。実際に役立つ有用な情報交換ができるし、悩みなどを語るガス抜きの場にもなり、精神衛生上もいいと思います」 息切れせずに介護を続けるためには、自分の時間やお金、心身の健康を軽視せず、親と自分の環境、双方を整える。 「何も知らないと、介護にはマイナスのイメージが先行しがちですが、日々の中で笑える場面やほっこりできることもたくさんあります。ただ、それに気づくには、介護する側の余裕が大切。息を切らせずにできる、自分なりの介護のカタチを見つけてほしいですね」