【米国株ウォッチ】米国の金利引き下げでハーレー株はどこまで回復するか?
ハーレーダビッドソン(ティッカーシンボル:HOG)の株価は米国時間9月23日現在約38ドルとなっており、2021年5月17日につけたインフレショック前の高値である50ドルを約22%も下回っている。 一方、比較対象となる自動車大手のフォード株は同期間に約10%下落した。 ハーレーの株価は、FRBが利上げを開始する直前の2022年6月末には31ドル前後で取引されており、そこからインフレ率が緩和したことを背景に約26%上昇した。しかし、S&P500種株価指数は同期間に約45%上昇しており、市場全体の動きにはついていけていない。ハーレー株が市場をアンダーパフォームしている原因は、主に近年のインフレと高金利によりバイクや自動車の購入コストが高くなっていることを投資家が危惧しているためであろう。 ■株価パフォーマンス 過去3年間におけるハーレー株のパフォーマンスを見ると、株価はいくらか上昇していることがわかる。過去3年間におけるハーレー株のリターンは、2021年に4%、2022年に12%、2023年にマイナス10%であった。 ハーレーの株価がインフレショック前の水準に戻るためには、現在の水準から約28%上昇する必要があるが、複数の要因がハーレー株を上昇させる可能性がある。 FRBは先日、約4年ぶりに0.5%の利下げを行った。米国の政策金利であるフェデラルファンド金利は、利下げの後4.75%から5%の範囲を推移しており、FRBが金利をさらに引き下げる余地は大きく残されている。金利の引き下げは、ローンの毎月の支払額を減らす効果があり、ハーレーを購入するかどうか迷っている消費者の背中を後押しするだろう。 さらに、ハーレーの2024年モデルに対する需要も比較的旺盛だ。同社の2024年第2四半期の業績は市場予想を上回り、調整後のEPS(1株あたりの純利益)は前年同期比34%増の1.63ドル、収益は前年同期比12%増の16億2000万ドル(約2330億円)に拡大した。 ■近年の業績動向 ハーレーの年間収益は、2018年の約57億ドル(約8206億円)から2020年には約40億ドル(約5759億円)に減少したが、これは新型コロナウイルスの流行がオートバイ販売に与えた影響によるものである。しかし、需要が回復し、サプライチェーンの問題も徐々に緩和されたため、年間収益は2021年には53億ドル(約7631億円)、2023年には58億4000万ドル(約8400億円)程度まで増加した。 純利益は2018年の約5億3100万ドル(約764億円)から2020年にはわずか約100万ドル(約1億4000万円)に減少したが、2023年には約7億700万ドル(約1017億円)へと増加した。同社の財務状況もそれなりに良好で、直近四半期時点で18億ドル(約2590億円)の現金を保有している。 ■結論 金利の引き下げや、比較的好調な直近の業績が同社の株価を引き上げる可能性がある一方で、私たちは、同社の主要顧客層であるミレニアル世代(1981年~1990年代なかば頃までに生まれた世代)よりも若い層への訴求力が足りないとも考えている。そうした背景を考慮し、私たちはハーレーダビッドソンの目標株価を現在の市場価格を約12%上回る43ドル程度としている。
Trefis Team