「暗闇にイカやタコが浮かび上がる」〝幻想的〟なクリアファイルがSNSで話題 作者が込めた生物愛
暗闇に、ぼぅっと浮かび上がるタコとイカ。指先に乗るほど小さな生き物をモデルに作った、幻想的な「クリアファイル」が、SNSで話題になりました。制作者に話を聞きました。 【画像】話題のクリアファイルはこちら。紙を挟んでいくと…「一気に発光しだした」
「きれいですね」
話題になったのは、でんか(@K_theHermit)さんがXに投稿した動画です。 黒っぽいクリアファイルの間に白紙を差し入れると、紙が透けて生き物が浮かび上がって見えるしかけです。まるで闇に光るように、片面には「マメダコ」、もう片面は「ヒメイカ」の輪郭が浮かび上がります。 《我ながらマニアックに仕上がりました》 この〝幻想的〟な投稿には、「きれいですね」「なんじゃこりゃ!欲しい」「一気に発光しだした」と驚く人が続出し、1.7万件のいいねがつきました。
「1年に400回以上は海に行く」
ヤドカリのアイコンで知られるXに4.9万人のフォロワーがいるでんかさん。生き物のユニークな生態を日々発信しています。 もともと東京海洋大学出身で、現在は海産生物の増養殖職として働いています。 職場は、海の目の前。自宅があるのも海辺の町。「1年に400回以上は海に行く」そうで、仕事以外でも〝趣味の延長〟として、採取してきた生き物を家で観察したり、SNSで発信したりして、「海の生物関連のことしかしない〝潮まみれの日々〟」を送っています。 話題になったクリアファイルが生まれたのは、そんな〝潮まみれの日々〟の中で、いつもと違った試みをしようとした時でした。 これまでは「生物の良さがそのまま伝わる」ものを大前提に、特別な加工は施さない画像を発信してきたでんかさん。今回はイカやタコを専門に扱う作家さんとのコラボ企画のため、あえて「今までやったことがないことを」と考えました。
人間の目で見た〝普通〟
いつものように白背景で、〝普通〟の状態の生物を撮影した後に、写真の色と輝度を反転させる「階調反転」を加えました。 明るい部分は暗くなるため、白背景の写真は黒背景に。「見た人が違和感を覚えるような、おどろおどろしさ」を狙いました。 「普通の生物の良さを見せる」というこれまでのコンセプトとは違う作品を作りながらも、でんかさんはこう思ったそうです。 「これまで〝普通〟だと思って発信してきた生物の姿は、人間の目で見た〝普通〟だったのかもしれない」 イカは、目がとても良いと言われています。この世界には、人間よりも視力の良い生物、人間には見えない波長まで見える生物、いろいろな生物がいる…。 「人間以外の生物からしたら、どんなふうにほかの生物は見えているんだろう」 もしかしたら、クリアファイルのこんな幻想的な風景が〝普通〟の生物がいるのかもしれません。