名古屋城で「アートサイト名古屋城」 「観光する行為」テーマに制作・展示
名古屋城(名古屋市中区本丸1)内で11月28日、アートプロジェクト「アートサイト名古屋城2024 あるくみるきくをあじわう」が始まった。(名駅経済新聞) 【写真】江戸時代、明治時代に名古屋を描いた高力猿猴庵の絵、蓑虫山人の絵日記を紹介 アートサイト名古屋城は、名古屋城内の各所を舞台に現代アート作品を制作・展示する企画。2回目となる今回は、名古屋城を「観光する行為」そのものをテーマに、4人のアーティストが出展。併せて、明治時代に各地を放浪してユーモラスな旅とその出会いの情景を描き、尾張の地で生涯を閉じた蓑虫山人の絵日記、江戸時代に名古屋城下の風俗や祭りを描いた尾張藩士・高力猿猴庵の絵も紹介する。 狩野哲郎さんは、本丸御殿の内外や二之丸庭園などに展示。野外では、複数種が絡み合う樹木や自生するバナナなどに着目し、木材などでその存在を拡張する立体作品を制作した。本丸御殿表書院内の4つの部屋には、対面所の障壁や襖(ふすま)に描かれた動植物に応答する作品を展開した。 久保寛子さんは、本丸御殿の中庭、車寄に展示。中庭では、シャチホコの起源をリサーチする中でたどり着いた龍をモチーフに制作。災害復旧の際に用いられる工業用ブルーシートなどで、水神としてあがめられる一対の龍の彫刻を配置した。車寄では、襖絵に想像で麝香猫(じゃこうねこ)を描いた狩野派の創意と熱意に呼応。現実のジャコウネコを観察して制作した彫刻を配置した。 菅原果歩さんは、明治時代初期に建設され、国登録有形文化財となっている「乃木倉庫」に展示。夜間に城内で野営するなど、約1カ月、名古屋城に通い続け、2種のカラスの生態をリサーチ。写真やドローイングでカラスを記録し、サイアノタイプという古典写真技法で、障壁画のような大きなイメージを描き出した。 「千種創一+ON READING」は、二之丸庭園内の13カ所と二の丸茶亭茶室に展示。庭園内には、千種さんが詠んだ短歌を印字した鏡を各所に配置。庭園の風景や鑑賞者自身の姿が映り込む鏡に出合いながら、「あなた」と「わたし」について問いかける言葉を鑑賞する。茶室は、第十二代尾張藩主・徳川斉荘が知多半島を視察した際にまとめた「知多の枝折」に呼応した作品。知多の旅路を千種さんがたどり、斉荘の歌へ返歌を創作。それぞれの歌を、茶室内の掛け軸に映し出した映像を用いて展開する。 12月6日~8日には、西之丸エリアで関連企画「ナイトミュージアム名古屋城」を開く。川村亘平斎さんによる影絵と音楽のパフォーマンス、野村誠さんによる瓦を楽器にした演奏、山城大督さんによる名古屋城の天然記念物のカヤの木からとれたカヤの実を使った精油蒸留の実演のほか、作品展示の夜間公開、トークイベント、ワークショップなどを行う。フードやドリンクを販売するリトルマーケット、本丸御殿の夜間特別公開、二之丸庭園の紅葉ライトアップなども。 期間中、名古屋城本丸御殿、乃木倉庫など「史跡・文化財等の特別公開」も併せて開催する。 入場時間は9時~16時30分(ナイトミュージアム名古屋城の期間中は19時30分まで)。入場料は500円、中学生以下無料。12月15日まで。
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