日本メディアの“誘導”に乗らないルイス・ネリの冷静さ…世界的カメラマンは“悪童の実力”をどう見たのか?「それでも井上尚弥が圧倒的に有利」
ネリの連打は脅威だが…やはり「井上が圧倒的に有利」
会見に続いて公開された練習はわずか2ラウンドであったが、短い中にもネリの特徴がけっこう出ていたと思う。リードブローの伸びはさほどでもないものの、ミット打ちでいざ連打を繰り出し始めると一気にボリュームが増してくる。しかも強弱があまりなく、どのパンチにも威力がこもっているため、撮影する時になんとなく狙いどころを絞りづらい。そのトルク感のせいで実際よりスピードがあるように錯覚してしまう。本気のジムワークではなく、パワーはセーブしているが、それでも攻撃力を察することはできた。特にすくい上げるような左右の強打は見にくい角度で伸びてくる。 それと同時に、もともと言われていた短所についても改めて確認ができた。連打の弾幕がバリアになっているが、攻めている時は両ガードが下がり気味で“顔”が写真に写りやすく、全体的に隙が多いという印象は変わらなかった。 最近のネリの数試合と、この日の軽めの動きを見て予想をするとしたら、やはりいつものように「井上が圧倒的に有利」とするしかないのだろう。決定力はもちろん、両者の素早さと危機管理のレベルが大きく違う気がする。 ネリが開始から強気に仕掛ければ、立ち上がりはスリリングな展開になるが、その場合は井上のカウンターの精度が勝り、5年前のエマヌエル・ロドリゲス戦に似た展開となりそうだ。ネリの攻撃のリズム、軌道を井上がいったんインプットしてしまったら、打ち出しや打ち終わり、連打の繋ぎ目にコンパクトな左右のカウンターを決められるのではないか。挑戦者が出てきた時は、我々も井上側の目線になったつもりで、ネリが繰り出す左右の“裏のリズム”に合わせてシャッターを切っていくことになると思う。 反対にネリが慎重なボクシングでスタートするとしても、この試合をコントロールしていくのは同様に難しいはず。L字ガードを多用するネリは身体能力を活かした柔らかいボディワークを見せるが、相手のパンチを安全圏で確実に捌き切るわけではない。その見切りのやや甘いバックステップ、スウェー、ブロックで、井上の鋭い踏み込みに対処していけるとは思えないのだ。 要するに挑戦者がどういう間合いで戦っても、結果はほぼ同じと予想している。井上のジャブと反射能力、カウンターのタイミングと対峙したら、ネリといえど最初の数分で少なからず動揺して、対モンスターのプランが徐々に崩れていくのではないだろうか。
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