日本メディアの“誘導”に乗らないルイス・ネリの冷静さ…世界的カメラマンは“悪童の実力”をどう見たのか?「それでも井上尚弥が圧倒的に有利」
5月6日、東京ドームで“モンスター”井上尚弥と“悪童”ルイス・ネリのビッグマッチが行われる。あまたの名勝負の決定的瞬間を撮影し、世界的に高く評価されるボクシングカメラマンは、この一戦をどう予想しているのか。“パンチを予見する男”と称される福田直樹氏が、公開練習やスタジオ撮影を通じて見えてきた「ネリの実力とメンタリティ」を分析した。 【写真】日本メディアの“誘導”に乗らないネリが浮かべた「不敵な笑み」…公開練習では迫力あるミット打ちも。世界的カメラマンが至近距離でとらえた“悪童の素顔”を見る(全40枚)
むしろ知的で落ち着いていた“悪童”の取材対応
今回のイベントの規模、注目度の高さは十分に理解しているつもりだったが、それでもルイス・ネリの公開練習に詰めかけた報道陣の多さには驚かされた。カメラマンの数も普段の1.5倍くらいで、撮影場所を確保するのにひと苦労したほど。オーバーウェイトやドーピング陽性など、数々のトラブルを繰り返しながらも長年トップレベルをキープしてきた問題児は「東京ドーム決戦」の敵役としてやはりうってつけなのだろう。 本番まで2週間近くあるせいか、ネリ自体のテンションはまだ抑え気味に感じられた。公開練習前の慣例となっている簡易会見では、ネリの“本性”を引き出そうとする各社からの誘導的な質問が続いた。しかし、その思惑に必要以上には乗らない。自分の勝機、自信をアピールしつつも、4冠王者の井上尚弥をところどころでリスペクトしていく。 切り取ったらまさに“悪役”に見える、気性の激しそうな表情も何枚か撮れたが、この日の言動とは明らかに違うので、それらは私の判断でボツにして、落ち着いた顔の写真のみを各国のメディアに送っておいた。 その簡易会見の準備中にも、個人的に印象に残ることがあった。ネリ陣営が来る前、椅子が並べられた会場を眺めていて、「主役」の席がいつものレイアウトよりなぜか50センチほど手前に置かれているのに気づいた。つまりネリと報道陣、関係者の距離が妙に近い。不思議に思っていたら、通訳の方が「ネリは声が小さくて聞き取りにくいので、席を少し前に出してもらったんです」と説明してくれた。 考えてみれば、今年3月の発表会見の前日、ネリをスタジオで撮影した際も、私のポーズのリクエストにことのほか静かに、淡々と応じていたように記憶している。6、7年前の来日時はどうだったかよく覚えていないが、今回の会見でも、確かに悪童のイメージとは違う抑揚のない声でコメントしていた。 表面上は冷静に見えたそんなネリが、大一番を前にどこでどう豹変するのか。それともそのままのトーンでリングへ上がっていくのかは、なかなか興味深い部分だ。
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