測量開始のはずがパトカーが駆け付け、「ウチが買い取ったのに、本人確認もしたはずのに」...史上最大の「地面師詐欺」に泣かされたのはあの大手企業だった
55億円の被害
50件とも100件とも言われる警視庁管内の地面師詐欺のなかでも、積水ハウスのケースは飛び抜けてスケールが大きい。事件が発覚したあとの8月2日付の積水ハウスの発表によれば、2000平米(およそ600坪)の土地をはじめとした一連の不動産取引総額は70億円にのぼる。うち積水ハウスは63億円をニセ地主に支払い、最終的に55億5000万円もの大金をまんまと騙し取られたのである。紛れもなく、これまで類を見ない史上最大の地面師詐欺である。 地面師事件には、それぞれに特徴がある。不動産のプロが騙されるケースはさほど珍しくないが、なかでも積水ハウスの件は、騙された会社の規模が群を抜いている。 大和ハウス、住友林業とともに、日本のハウスメーカー御三家の一角を占め、2018年1月の決算では大和ハウスに次ぐ2兆1593億円を売り上げた業界のリーディングカンパニーだ。マンション開発も手掛ける日本屈指のデベロッパーでもある。取引における経験や知識も豊富だ。そんな業界のガリバー企業が、なぜこうも簡単に巨額の不動産代金を騙し取られたのか。 積水ハウス事件の複雑怪奇なカラクリを追う。 『積水ハウスがハメられた史上最大「55億円の被害」の裏...高齢地主に擦り寄るデベロッパーやブローカーたちの裏で蠢いていた「地面師」たちの影』へ続く
森 功(ジャーナリスト)
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