測量開始のはずがパトカーが駆け付け、「ウチが買い取ったのに、本人確認もしたはずのに」...史上最大の「地面師詐欺」に泣かされたのはあの大手企業だった
Netflixドラマで話題に火が点き、「地面師」はもはや国民的関心事となっている。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ…」母の再婚相手から性的虐待を受けた女性が絶句 11月1日(金)には、あの人気番組「金スマ(中居正広の金曜日のスマイルたちへ)」でも地面師特集が放映されるほど。同番組では、ネトフリドラマの参考文献になったノンフィクション『地面師』の筆者・森功氏がゲスト出演して、地面師の手口を詳しく解説している。 不動産のプロですらコロッと騙されるのだから、私たち一般人が地面師に目をつけられたらひとたまりもない。そのリスクを回避するためには、フィクションのドラマを観るより、地面師の実際の手口が詳細に書かれた森氏のノンフィクションを読むのが良いだろう。 森功著『地面師』より、自己防衛の参考になる箇所を抜粋してお届けしよう。 『地面師』連載第3回 『隣家とのわずか45cmの隙間に見つかった「白骨遺体」に「NTTが青ざめた」...大手だろうが例外ではない、知られざる「地面師詐欺」の実態』より続く
ストップされた工事
通報を受けた警視庁大崎警察署の捜査員が現場に駆け付けたのは、2017年6月1日の昼過ぎのことだった。 「あなたたちは、どちらの方ですか」 積水ハウス工務部の担当者たちは、パトカーから降りてきた警察官にいきなりそう誰何された。工務部とは文字どおり、デベロッパーが建設工事にとりかかる前に現場の調査をし、資材を調達する先発隊だ。積水ハウスの工務部の社員も、そのために現場で作業をしようとしていたのだが、そこへ警察官が現れること自体、まったく事情が呑み込めない。まさに面食らった。 現場はJR山手線の五反田駅から徒歩3分、目黒川を渡ったところにある旅館「海喜館」の玄関先だ。不動産代金を払い込んで売買契約が成立したはずの積水ハウスの社員が、古くなった建物の取り壊し準備を始めた。旅館の周辺に赤いカラーコーンを配置し、測量を始めようとした。その矢先の出来事だ。とつぜんパトカーがサイレンを鳴らして駆け付け、周囲が大騒ぎになったのである。
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