【定額減税】「二重取り」で配偶者が1人で実質8万円が可能?制度の穴に政府の見解は
定額減税が「ゼロ」になってしまう人も
定額減税が0円となる人は、主に以下に当てはまる人です。 ・年収1000万円以上ある人の配偶者 ・所得が1805万円超(給与のみで年収2000万円超)の人 ・2023年に休職などで収入がなく、扶養に入っていなかった人 ・所得税・住民税が非課税の人 年収1000万円以上ある人は、配偶者がいても配偶者控除を受けられません。 そのため、会社が自治体へ提出する「給与支払報告書」には「控除対象の配偶者」や「配偶者控除額」が記載されておらず、その人に配偶者がいるかどうかまでがわからないのです。 よって、年収1000万円以上ある人の配偶者は、たとえ扶養に入っていたとしても今年度は定額減税を受けられません。ただし、このような人は翌年度に定額減税の措置が適用される予定です。 このほか、所得が1805万円超、給与所得のみの場合は2000万円超ある人は、定額減税の対象外です。いわゆる「富裕層」は今回の施策の対象に合致しないためと考えられます。 また、2023年に収入がなく扶養に入っていなかった人や、所得税・住民税がかからない人も、定額減税の対象外です。 ただし、このような人は「住民税非課税」となるため、世帯全員が住民税のかからない人であれば、最大10万円の「住民税非課税世帯給付金」を受け取れる可能性があります。 定額減税は国民全員が平等に受けられる施策ではありません。減税を受けられない人もいれば、二重に受けられる人もいます。 政府は、この状況についてどのような見解を示しているのでしょうか。次章で解説します。
定額減税二重取りに対する政府の見解
政府は、定額減税の二重取りについて、基本的に「容認」としています。7月12日の定例閣議後の記者会見で、鈴木俊一財務大臣が容認を示す発言をしたためです。 鈴木財務大臣の記者会見での発言要旨は、以下のとおりです。 〈鈴木財務大臣の記者会見の発言要旨〉 ・重複を認めないという考え方に立たなかったことについて、国民にご理解いただきたいと考えている。 ・不公平といった指摘があるのは承知しており、定額減税を重複して受けるケースが生じることについては指摘のとおり。 ・一方で、例外ケースを防ぐには、源泉徴収義務者である企業や地方自治体の事務コストが膨大になる恐れがある。 ・公平性への配慮も重要だが、同時に定額減税は一時的な措置であるため、企業や地方自治体の担当者の事務負担に配慮するのも重要と考えている。 政府が定額減税の二重取りを容認しているのは、企業や地方自治体の事務者の負担を考慮したためです。 定額減税は今回限りの措置であるため、これ以上担当者の事務負担を増やすと、本来しなければならない業務が疎かになる可能性があります。 多くの人に多大な負担を強いることとなるため、容認せざるを得ない状況になっているといえるでしょう。 不公平感はありますが、財務省トップがこのように発言したことから、今後二重取りの容認が撤回される可能性は低いと考えられます。