お坊さんが館長を務める静岡市唯一のミニシアターがおもしろい!
コロカルニュース
■住職と檀家青年部など有志が立ち上げた文化施設〈サールナートホール〉 みなさんは館長がお坊さんであり、ロビーから墓地(&富士山)が見える映画館があることをご存じでしょうか?それは、静岡市唯一のミニシアター〈サールナートホール/静岡シネ・ギャラリー〉です。 【写真で見る】インドの遺跡をモチーフにしたデザインの〈サールナートホール〉 〈サールナートホール〉の創業は1995年。同館向かいにある、臨済宗妙心寺派 宝泰寺が静岡市民が文化活動をできる施設を建てようと住職の藤原靖爾さんと檀家青年部らが数年の勉強会を経て設立しました。 「サールナート」とは、インドに実際にある遺跡の名前で、釈迦が初めて説法を説いた場所と言われています。釈迦がそこから仏教を広めていったように、同館も東京からの文化を受け取るだけでなくここから文化を発信していこうという考えのもと、この名がつけられたそうです。 1990年代頃まで、2000人を収容する市民文化会館を除き、静岡市内には市民による文化活動ができるような200席前後のホールがありませんでした。それまでは東京をはじめとする都市部の文化を輸入・受動する機会しかなくこの静岡市から発信する・はぐくむ機会が少なかったため、〈サールナートホール〉がそういった拠点になれたらという想いも込め建てられています。 建物は〈静岡県立美術館〉を設計した設計士・高木滋生氏による設計です。インドのサールナートを実際に訪れた、館長と設計士の経験が反映されていてインドの遺跡をモチーフにした、趣のあるデザインになっています。1995年には、しずおか市民景観大賞「奨励賞」も受賞しています。 ■2003年には静岡市唯一のミニシアター〈静岡シネ・ギャラリー〉も館内に開業 2003年12月には館内の一部を改装し、静岡市唯一のミニシアター〈静岡シネ・ギャラリー〉がオープン。 劇場として意識していることは、「東京に行かなければ見ることができなかった作品」「県内でここでしか観られない作品」「静岡市民に紹介したい作品・見てもらいたい作品」を中心に上映作品を編成していること。作品の公開規模や動員数だけにとらわれず、良いと思った映画、届けたいと思った映画を年間180本以上独自に編成、上映しています。 監督や俳優を招いた舞台挨拶、作品内容の理解が深まるセミナーやトークショー、地元の団体・店舗・学校などとタイアップした関連イベントなど、「映画鑑賞+α」の体験ができる企画も定期的に行っています。 こうした活動により、年間会員制度「シネ・ギャラリー会員」には毎年3500~4000名が入会しています。 他にはない特徴としては、館長の藤原靖爾さんがお坊さんであり、映画館ロビーから墓地と富士山が見えること。 藤原館長は今後も「ここでの文化活動を通して、(他人だけでなく自分の生命も)生命が輝く場、生命を感じる場でありたい」と考えています。 ■今後も世界中の素晴らしい映画の数々を上映するために そんな〈静岡シネ・ギャラリー〉では今後も世界中の素晴らしい映画の数々を上映すべく、新しいデジタル映写設備を導入するためのクラウドファンディングを2025年1月9日まで行っています。 映画館が映画館であるために必要なもの、それは何と言っても映写機です。かつてのフィルム映写機は、映写技師が一台ごとにある個性や癖を把握し、機嫌を取りながら調整修理を重ねて何十年も使い続けていくものでした。