豊橋新アリーナ計画 住民投票は見送り 市議会は”新たな条例”で反対派の市長に「待った」
豊橋市の新アリーナ計画について賛否を問う住民投票の実施は見送られることとなりました。一方、市議会は”新たな条例案”で契約解除を進める市長にストップをかけました。 新アリーナの建設計画をめぐっては、議会の議決を経て2024年9月、市と事業者が230億円あまりの整備運営契約を結びました。しかし、11月の市長選挙で「計画中止」を公約に掲げた長坂尚登市長が初当選。長坂市長はすでに事業者に対し契約解除を申し入れていて、現在は事業者とともに解除に向けた協議を進めています。 12月26日に開かれた市議会には当初、自民・公明など計画推進派と、長坂市長が市議時代に所属していた会派を中心とした計画反対派の双方から、住民投票の条例案が提出されました。豊橋市議会は計画推進派が過半数以上を占めています。そのため、『条例可決から60日以内に投票を行う』という推進派の条例案が可決されるとみられていました。しかし、事態は急変します。 自民・山本市議(計画推進派): 「現状では住民投票を行うことは適切ではないと考えます。条例案の撤回を申し入れます」 推進派は、契約解除が行われた後の代替案が示されていないことや、住民に対し必要な情報提供を行うことが困難であることを理由に、条例案の取り下げを表明したのです。 これにより、反対派の条例案のみを採決することになり、採決の結果、賛成少数で否決されました。
議会は26日午後10時過ぎまで続いた
さらに、この日の市議会はこれでは終わりません。推進派の市議らは、”緊急”として、新たに条例の改正案を議会に提出。この改正案では、議会の議決を経て締結した契約について、契約を解除するときにも議会での議決を必要とするよう改めるとしています。 新アリーナ計画の契約解除の動きを阻む可能性があるこの議案を受け、反対派は大きく反発しました。 共産・斎藤市議(計画反対派): 「新アリーナ計画の契約は改正案の対象となるのか」 自民・本多市議(計画推進派): 「契約解除の手続きが始まっていなければ対象となると考える」 共産・斎藤市議(計画反対派): 「地方自治法では契約の解除について議会の議決が必要だとは明記されていない」 自民・本多市議(計画推進派): 「地方自治法では契約を解除することが想定されていないのでは。法の抜け穴だと考えている」 議会は午後10時過ぎまで続き、採決の結果、賛成多数で条例改正案は可決されました。 議会終了後、長坂市長は報道陣の取材に対し、「どのように向き合っていくかこれから考えていかなければならない。法的な精査は必要」と話しました。一方、契約解除の手続きについては「協議を進めているが、今回の条例改正の対象となるかはわからない」としていて、計画の行方は依然不透明なままです。
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