辞意を表明、川勝知事「知性の高い」発言がマズいこれ程の理由 「上から目線」「臆測による対比」あとひとつは?
今回の発言も、客観的なデータを示さずに「職員は頭脳、知性の高い存在」と表現したことにより、相対的に他の職業は「それより下」と位置づけられてしまった。かつて早稲田大学教授などを務めた川勝知事らしくない、エビデンスに乏しい発言と言えるだろう。 ■誠実さにも欠けていた 【問題点3】自説にとらわれ、世論を認識できていない もし問題視される発言をしても、周囲からの指摘を受けて、柔軟に対応できれば、最悪の事態は回避できる。しかし川勝知事の場合には、自説と世論のギャップを正確に認識して、誠実に向き合っていたかの点で疑問が残る。
たとえば、2021年6月には知事選期間中に、かつて自身が学長を務めた大学の学生について、「みんなキレイ」「顔のキレイな子は、賢いことを言わないとキレイに見えない」などと発言。その内容が約半年後に報じられると、女性差別やルッキズムの文脈で批判を浴びた。 川勝知事は同年12月2日の会見で「一言で言えば、不適切そのもの。撤回し、お詫びを申し上げたい」として、「差別はしないというのが基本的な私の姿勢」「言葉遣いも含めて、正確を期して発言するというふうに改めないと駄目」との認識を示していた。
また会見では「パターン化した時代錯誤的な発言ではないかと思います」とも言っていたが、今回の発言と対応を見るかぎり、その認識が維持されているとは、なかなか考えがたい。 ――と、ここまで考えをまとめたところで、「電撃辞任」の報を受けた。結果的に表明会見となった、報道陣による囲み取材の映像を見ると、もうひとつ「最大の問題点」があることに気づいた。それは、他責的な傾向が強すぎることだ。 囲み取材で川勝知事は、「知性の高い」発言が一部を切り取られて報じられたとの認識を示し、「全体の趣旨は『静岡県に奉仕する公僕として、しっかり勉強してください』。(約20分の全編を)ご覧いただければ誤解が解ける」などと主張。言論の自由は重んじているが、ジャーナリズムやメディアの「質の低下」を感じるとして、報道機関の責任を問うた。